[出典]"Conditional control of fluorescent protein degradation by an auxin-dependent nanobody" Daniel K, Icha J, Horenburg C, Müller D, Norden C, Mansfeld J. Nat Commun. 2018 Aug 17.
背景と概要
背景と概要
- 植物に見られるオーキシン依存性タンパク質分解システムを移植することで、動物細胞内および動物個体内において、必須タンパク質を含む任意のタンパク質を条件付きかつ可逆的に迅速分解することが可能になった (AID法)。
- この手法を実現するためにはAID (auxin-inducible degron/オーキシン誘導性デグロン)タグを標的タンパク質に付する必要があり、これまでに、CISPR/Cas9を介した標的遺伝子へのAID配列ノックインする手法も開発された (関連crisp_bio記事:CRISPR/Cas9とAID(オーキシン依存蛋白質分解)技術により必須タンパク質の機能を解明) 。
- ドレスデン工科大学とMPI分子生物学・遺伝学研究所は今回、AID-nanobodyを介した標的タンパク質の分解を実現した。AID-nanobodyは、AIDにラクダ由来単一ドメイン抗体に類した抗-GFPナノボディ(vhh-GFP4)を結合したコンストラクトである。
AID-nanobodyを介したタンパク質分解(原論文Fig.1から引用した下図参照)
- AID-nanobodyがGFPに結合した状態 ---> オーキシン*添加によりユビキチンE3リガーゼSCF-TIR1複合体がTIR1を介したAIDに結合 ---> GFP内のリジン(K)そしてまたは標的タンパク質のリジン(K)ユビキチン化 ---> プロテアソームにより分解 (* オーキシンの一種インドール-3-酢酸(IAA)と合成オーキシン類縁体1-ナフタレン酢酸(NAA)を利用)
- GFP融合タンパク質のAID-nanobodyによる分解には、前述のように植物由来F-boxタンパク質TIR1の異所的発現と、AID-nanobodyの発現が前提である。NLS(核局在配列)またはNES(核外移行シグナル配列)で標識したTIR1を安定に発現するHeLa細胞とヒト網膜色素上皮細胞株(hTERT RPE-1)における予備実験により、核と細胞質の双方でのタンパク質分解を確認
- また、AID-nanobodyの小型化を模索し、64aaの最小化AIDが有効であることを確認;さらに、リジンのアルギニンへの置換がタンパク質分解に影響を与えないことも確認(AID-nanobodyの分解を回避)
- TIR1を安定に発現しCRISPR/Cas9 HRを介してテトラサイクリン誘導性mAID-nanobodyを導入したHeLa細胞;巨大な必須ユビキチンE3リガーゼである分裂後期促進複合体/サイクロソーム (anaphase promoting complex/cyclosome, APC/C)のサブユニットANAPC4を改変GFPであるVenusで標識し、観察;効率的かつ可逆的不活性化を実証
- GFPで標識した、増殖細胞核抗原(PCNA)を発現するトランスジェニック系統の網膜神経上皮にてモニター・確認;その他の細胞区画で発現するラミナ関連ポリペプチド2 (LAP2b)、GFP-Utrophinおよびミオチン軽鎖12(Myl12.1)の分解もモニター・確認。

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