1. Cas9遺伝子はCampylobacter jejuniの病原性に関与する
- [出典] "The Involvement of the Cas9 Gene in Virulence of Campylobacter jejuni " Shabbir MAB [..] Yuan Z, Hao H. Front Cell Infect Microbiol. 2018 Aug 20.
- C. jejuniは胃腸炎の主たる病原菌と見られているが、そのCRISPR-Cas9システムは動植物のゲノム編集に利用されている。華中農業大学の研究チームは今回、C. jejuni NCTC11168においてcas9と病原性の関係を、表現型ならびに遺伝子型の観点から探った。
- 野生型およびΔcas9変異型の菌株それぞれについて、バイオフィルム形成、運動性、付着と侵入、細胞内生存、および細胞毒素生産から病原性を判定し、トランスクリプトーム解析を行った。
- 野生型と変異型の発現変動解析(Differential Expressed Genes (DEG) Analysis)から、CRISPR-cas9が多数の病原性遺伝子群の調節に関わり(原論文 FFigure 8を引用した下図参照)、

C. jejuniの病原性を亢進することを見出した。すなわち、CRISPR-cas9システムが、C. jejuniの病態生理を調節することが明らかになった。
C. jejuni CRISPR-Cas9システム関連crisp_bio記事と論文
- CRISPRメモ_2018/04/04 1.フレームシフト変異に起因するジストロフィン欠損マウスの機能をCampylobacter jejuni Cas9で回復
- CRISPRメモ_2018/03/06 4.Campylobacter jejuni Cas9は、RNAを介して内在RNAsに結合し切断する
- CRISPRメモ_2018/01/07 1.タイプ II-A SauCas9とタイプ II-C CjeCas9は、ssRNAも切断する
- "Structures and transport dynamics of a Campylobacter jejuni multidrug efflux pump" Su CC, Yin L, Kumar N [..] Yu EW. Nat Commun. 2017 Aug 1.
- "Crystal Structure of the Minimal Cas9 from Campylobacter jejuni Reveals the Molecular Diversity in the CRISPR-Cas9 Systems" Yamada M [..] Nureki O. Mol Cell. 2017 Mar 16.
2. マーキング率を調節可能なCRISPR遺伝子編集技術によるクローン解析法Valcyrie
- [出典] "Clonal analysis by tunable CRISPR-mediated excision" Gilles AF, Schinko JB, Schacht MI, Enjolras C, Averof M. bioRxiv. 2018 Aug 17.
- これまで、Cre/loxシステムとFlp/FRTシステムに基づいたクローンのマーキングが、多細胞モデル生物における細胞の形態、成長および発生運命の追跡に利用されてきた。同じクローン・マーキング技術はまた、生体を構成する細胞のサブセットに特定の遺伝子改変を加えることで遺伝的モザイクの生成にも利用されている。こうしたクローン解析実験の成功には、低すぎずまた高過ぎないクローン誘導効率が必要であるが、その調節は必ずしも容易ではない。
- 害虫コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)の実験においてクローン誘導効率調節の問題に直面したInstitut de Génomique Fonctionnelle de Lyonの研究チームは今回、CreまたはFlpリコンビナーゼに替えてCRISPR遺伝子編集技術に拠るValcyrie (Versatile and adjustable labelling of clones by random CRISPR-induced excision)を開発した。Valcyrieの特徴は、CRISPR gRNAと標的との間の配列相補性の程度によって、マーキング率を調節可能なことにある。
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