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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典]"Three-dimensional genome structures of single diploid human cells" Tan L, Xing D, Chang CH, Li H, Xie XS. Science 2018 Aug 31.

概要
  • 遺伝子発現と細胞機能は、ゲノムDNA配列に加えてゲノムの3次元(3D)構造に依存する。このゲノム3D構造の再構成が、一倍体細胞についてはクロマチン・コンフォメーション・キャプチャ (Chromosome Conformation Capture, 3C)をベースにした手法によって可能になった。
  • 今回、ヒト二倍体細胞一細胞のゲノム3D構造の再構成を可能とするDip-C法を、HarvardのSunney Xieのグループが開発し (原論文Fig.1 参照)、ゲノム3D構造が細胞型・組織に依存することを明らかにした。
詳細
  • Dip-Cは、クロマチンにおいて一対の遺伝子座が近接する"コンタクト"を、トランスポゾンに基づいた全ゲノムを増幅するLIANTI (Linear Amplification via Transposon Insertion)法を改変したMETA (multiplex end-tagging amplification、原論文Supplementary Material 19頁 参照)法により検出し、染色体の2つのハプロタイプそれぞれをコンタクトに帰属させるアルゴリズムで構成される。Dip-Cは、これまでの3Cに基づく手法では不可能であった極めて多数のコンタクトの検出が可能である。
  • Dip-Cにより女性由来リンパ芽球様細胞株GM12878と男性末梢血由来初代単核細胞の二倍体一細胞を解析し、それぞれ100万前後と従来法の~5倍のコンタクトを検出し、ゲノム3D構造を高分解能 (20-kb分解能)で再構成した。
  • その結果、核内における特定の一塩基とコピー数多型の配置、インプリント遺伝子座の二種類のアレル (父系アレルと母系アレル)の間のゲノム3D構造の差異、2本のX染色体(活性なX染色体と不活性化された染色体)のゲノム3D構造の差異、および、細胞型固有のゲノム3D構造が主成分分析分布図上で明確に異なるクラスターを形成の同定を、実現した。
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