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[出典] [NEWS & VIEWS] "Designer proteins activate fluorescence" Chica RA. Nature. 2018 Sep 12.;"De novo design of a fluorescence-activating β-barrel" Dou J, Vorobieva AA [..] Baker D. Nature. 2018 Sep 12.

背景

  • 機能性タンパク質の設計において、天然に存在するタンパク質の構造から設計する手法に加え、デノボ設計する手法も、近年長足の進歩を遂げてきた。例えば、αヘリックスからなるコイルドコイル構造からなるタンパク質は、パラメトリックモデルによって多数合成されている。しかし、β-バレル (β-barrel)のデノボ設計と、選択した任意の低分子に結合するタンパク質の設計は実現されていない。
概要
  • David Bakerらの研究グループは今回、リガンド結合によって蛍光を発するβ-バレル構造タンパク質を設計・発現精製・X線結晶構造解析し、生細胞でその性能を実証した。
詳細
  • 研究グループは、双曲面モデルをもとにしたパラメトリックな3次元主鎖構造設計法と、Rosettaソフトウエア  により2次元での残基連結性から3次元主鎖を生成する手法を比較し、後者により、対称性を崩して連続的な水素結合を介したβストランド間の連結性を実現し、加えて、主鎖の歪みを解消することで、β-バレルのデノボ設計・合成とX線結晶構造解析での検証を実現した。
  • 研究グループは、アプタマーSpinachに結合して蛍光を発する低分子DFHBIと形状が相補的なキャビティーを帯びたβ-バレル (n (ストランド数) = 8; s (Shear number/ストランドのずれ) 10)の主鎖構造〜500種類を構築し、新たに開発したドッキング・アルゴリズム'rotamer interaction field (RIF)'を利用して、キャビティーとDFHBIとの間の幾何学的相補性と化学的相補性を最適化を計り、2,102種類のリガンドとβ-バレルとの結合様式を得た。
  • 続いて、モンテカルロ法を介してタンパク質フォールディングが進行するようなエネルギー状態へと絞り込み42種類の候補構造を選定し、それに14種類のジスルフィド結合変異体を加えて、実験検証に向かった。
  • 56種類のβ-バレルをコードする遺伝子を合成しE. coli発現系で38種類の可溶性タンパク質を得、その中で、サイズ排除クロマトグラフィーと遠紫外円偏光二色性スペクトルから20種類の単量体を同定し、その蛍光活性を評価した。
  • DFHBI蛍光を最も強く誘導した110アミノ酸からなる構造 (b11L5F)を選択し、全ての残基についてのアミノ酸変異体を作出し、酵母細胞表面にて蛍光活性と安定性を評価し、b11L5Fの構成の特徴と、蛍光活性と安定性のトレードオフの構造基盤に考察を加え、3ヶ所の残基を置換したb11L5F_LGLを選択し、さらなる最適化を経て、2種類のDFHB結合蛍光性β-バレル (mFAP1とmFAP0)に到達した。
  • mFAP1とmFAP0の蛍光活性:in vitro 20 μM DFHBI添加後5分での発光;Escherichia coli 細胞質、酵母細胞の細胞膜表面、アフリカミドリザル腎細胞株COS-7の細胞内小器官において観察:サイズがGFPの半分程度であることからも、蛍光標識を要する実験に極めて有用
  • PDB登録構造データ:b11L5F_LGL 6CZG;mFAP1–DFHBI 6CZH;mFAP0–DFHBI 6CZI (2018/09/17時点未公開)
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