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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] News & Views "CRISPR mutagenesis screening of mice" Serebrenik YV, Shalem O. Nat Cell Biol. 2018 Oct 8.
  • 中国科学院のQing Liらの一塩基編集  (BE)を利用したスクリーニングにより個体の表現型を決定づけるタンパク質の残基を同定した論文(*)を解説
  • 研究チームは、インプリンティングに関わるH19メチル化可変領域 (H19 DMRs)とIG-DMRを欠損させた雄性発生胚由来ES細胞(androgenetic haploid embryonic stem cells, haESCs)であるDKO-AG-haESCsに1塩基編集システムBE3-2NLS (NLS-rAPOBEC1-nCas9-UGI-NLS)とsgRNAライブラリーを注入した上で、成熟卵母細胞に注入し (intracytoplasmic AG-haESCs injection, ICAHCI)、さらに雌マウスに移植することで、変異を帯びた個体に至り、これをsemi-cloned (SC)と称した。
  • SCにはモザイク効果がほとんどみられず、F0世代での変異を直接解析することを可能にし、細胞レベルから個体レベルまでの遺伝的解析を1ステップで可能にした。
  • E12.5のSC胚において、始原生殖細胞 (primordial germ cell, PGC)生存に必須なRNA結合タンパク質DND1を対象として、PGCの発生に必須の残基をスクリーニングした。SgRNAライブラリーは、DND1 遺伝子の4つのエクソンを標的する77または30 sgRNAsとした。
  • 得られたマウス胚184個における点変異の3分の1がホモ型変異であったところで、顕微鏡観察とジェノタイピングから、E12.5マウス胚においてPGCの発生を阻害するミスセンス変異を4種類同定した:E59K, V60M, P76L, およびG82R。
  • 興味深いことにこれらの点変異は、352アミノ酸からなるDND1タンパク質の中で、DND1 RRM1ドメインに集中していた。
  • 生化学的解析から、DND1変異タンパク質は、安定性を欠き、また、RNA制御に必須なNANOS2との結合が失われることが明らかになった。
  • 今後、BEシステムの標的可能領域の拡大、オンターゲット編集の効率向上とオフターゲット編集の抑制、生殖技術と表現型/遺伝型解析技術のハイスループット化、が期待される。
  • (*) CRISPR_2018/10/08-2 1. 塩基編集 (BE3改良版)により始原生殖細胞発生の鍵を握るアミノ酸を同定;"CRISPR-Cas9-mediated base-editing screening in mice identifies DND1 amino acids that are critical for primordial germ cell development" Li Q [..] Chen Y, Li J. Nat Cell Biol. 2018 Oct 1;Fig. 2 & Fig. 7 were corrected on 2019-02-04.
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