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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1. 標的療法と免疫チェックポイント阻害療法の併用による相乗効果
[出典] "CRISPR/Cas9 mediated HPV and PD1 inhibition produces a synergistic anti-tumor effect on cervical cancer" Zhen S, Lu J, Hua L, Liu YH, Chen W, Li X. Arch Biochem Biophys. 2018 Oct 10.
  • 癌の標的療法は子宮頸癌に奏功するが効果は短期間である。一方で、免疫チェックポイント阻害療法は、応答率が低いが長期間作用が継続する。中国の研究チームは今回、HPV16 E6/E7を標的とするとCRISPR/Cas9と、PD1-1を標的とするCRISPR/Cas9を併用することで、子宮頸癌に対して相乗的抗腫瘍効果を発揮することを実証した。
2. カルシウムセンサータンパク質は、ヒト多能性幹細胞から誘導した心筋細胞の機能解析に有用である
[出典] "An ultrasensitive calcium reporter system via CRISPR-Cas9 mediated genome editing in human pluripotent stem cells"  Jiang Y, Zhou Y, Bao X, Chen C, Randolph LN, Du J, Lian XL. iScience. 2018 Oct 8.
  • カルシウム濃度の変化を蛍光強度の変化として観察可能にした高感度なレポーターGCaMPを、CRISPR-Cas9によりノックインしたヒト多能性幹細胞 (hPSC)から心筋細胞を誘導し、自発的な収縮に応じた蛍光シグナルの振動を確認し、続いて、機械的収縮シグナル、または、徐脈などの治療に利用されるイソプロテレノールの処置による変動の解析が可能であることを確認した(下図は原論文グラフィカルアブストラクトから引用)。GCaMP
3. ゲノムスケールCRISPR-Cas9ノックアウト・スクリーンから、必須遺伝子とサブネットワークを同定するデータ解析ワークフローGenomeSpaceを開発
[出典]"A unified GenomeSpace recipe to identify essential genes and associated subnetworks from Genome-Scale CRISPR-Cas9 knockout screens [version 1; referees: awaiting peer review]" Carlin D, Kim F, Ideker T, Mesirov JP. F1000Research. Last updated 2018 0ct 12.
  • ワークフローの概要は原論文Figure.1から引用した下図参照(入力 - CRISPR/Cas9ノックアウトスクリーン結果のFASTQファイルとsgRNAライブラリ;解析 - GenePatternのMAGeCKを利用して重要な遺伝子を同定し、その結果をCytoscapeにロードし、Netwrok Diffusionを利用して相互作用を発見;出力 - GeneMANIAを利用して、Cytoscapeにて、サブネットワークの可視化とアノテーション)GenomeSpace recipe
4. [特許] ssRNAを標的・切断可能な新奇Casタンパク質"CasM"
[出典] US2018/0282715 "Novel crispr-associated (cas) protein"
  • 公開日 2018-10-04. 発明者 Carter MM, Donohoue PD. 権利者 Caribou Biosciences Inc.
5. [レビュー]臨床応用に向けたナノ粒子 (NP)によるCRISPR/Cas9システムのデリバリー
[出典] "Nanoparticle-Based Delivery of CRISPR/Cas9 Genome-Editing Therapeutics" Givens BE, Naguib YW, Geary SM, Devor EJ, Salem AK. AAPS J. 2018 Oct 10.
  • 高いオンターゲット編集効率とオフターゲット編集の抑制を期待できるナノ粒子 (NP)デリバリー技術をレビュー:脂質系 (市販品, 脂質または脂質様NPs);ポリプレックス系 (ポリエチレンイミン/PEI, ポリ(アミドアミン)/PAMAM, キトサン);細胞透過性ペプチド (cell-penetrating peptides, CPPs)その他;
  • Fig. 2 各種のNPsを介したCRISPR/Cas9送達経路の模式図, Table 1 各種手法の臨床試験一覧表
6. CRISPR-Cas9スクリーンにより、ヒト神経前駆細胞 (hNPC)のG0期様状態を調節する遺伝子を同定
[出典]"CRISPR-Cas9 Screens Reveal Genes Regulating a G0-like State in Human Neural Progenitors." Feldman HM [..] Plaisier CL, Paddison PJ. bioRxiv. 2018 Oct 17.
  • フレッド・ハッチンソン癌研究センターを中心とする研究チームは、CRISPR-Cas9により、癌抑制遺伝子として知られているあるいは推定されているCREBBP, NF2, PTPN14, TAOK1, またはTP53をノックアウトすると、一時的G0期様状態のスキップ/G1期短縮を経て、hNPCの増殖が亢進することを見出した (bioRxiv投稿Figure 1引用下図参照)。Neural Progenitor Cells 1
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