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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1. CRISPR/Cas9でHEK293細胞にCAGリピート配列を挿入し、ハンチントン病モデル細胞を作出
[出典] "Introducing an expanded CAG tract into the huntingtin gene causes a wide spectrum of ultrastructural defects in cultured human cells" Morozova KN, Suldina LA, Malankhanova TB, Grigor'eva EV, Zakian SM, Kiseleva E, Malakhova AA. PLoS One. 2018 Oct 17
  • ハンチントン病の病因変異は、ハンチンチン(HTT)遺伝子の第1エクソンのコーディング領域におけるCAGリピート配列の異常伸長である。215回のCAGリピートを帯びたドナーによる相同組み換えにより生成したHEK293 Phoenix細胞変異株3種類(9-bp/CAG3リピート欠損、98-bp欠損、300-bpおよび450-bp挿入)の超微細構造を電子顕微鏡で解析し、450-bp(CAG150回リピート)がハンチントン病のモデルとして利用可能なことを示した。
2. CRISPR/Cas9による精密編集により、両方向性GAL1/GAL10プロモーターの転写調節機構を詳らかに
[出典] "Insights into Bidirectional Gene Expression Control Using the Canonical GAL1/GAL10 Promoter" Elison GL, Xue , Song R, Acar M. Cell Rep. 2018 Oct 16.
  • プロモータの構造が転写活性に及ぼす作用の理解が進んできたのに対して、クロマチンの構造が転写に及ぼす作用の解明は遅れている。これまで、両方向性のGAL1/GAL10 プロモーターによる転写は、GAL1/GAL10 のUAS (Upstream Activating Sequence9領域がヒストンバリアントH2A.Zに巻きつくルーピング(looping)によって調節されると、想定されていた。Yale大学の研究チームは今回、2段階CRISPR編集法 (two-step CRISPR editing method*)により、酵母においてGAL1/GAL10 を高精度で編集し、両方向性発現制御の分子機構を詳らかにした。
  • (*) Elison GL, Song R, Acar M. "A precise genome editing method reveals insights into the activity of eukaryotic promoters" Cell Rep. 2017 Jan 3; 18(1): 275–286
  • UAS領域にはGal4が結合するサイト (以下、GBS)が4ヶ所知られていた (以下、2つのTATAボックスのうち上流のTATAボックスから1、2、3、4番目と呼ぶ)
  • 4つのGBSの外側のプロモーター領域にも、転写調節領域が存在する。
  • 1番目と4番目のGBSはプロモーターの活性化には関与しないが、新たに発見した転写調節領域とともに、遺伝子発現の方向を制御する (1番目のGBSとその近位の転写調節領域を削除するとGAL1の発現だけが阻害される)。
  • 2番目と3番目のGBSは遺伝子発現調節に関与する。3番目のGBS欠損によってGAL1GAL10の双方の発現が阻害される。
  • GAL1/GAL10 UASは酵母以外にも多くの真核生物において遺伝子発現を活性化することから、今回明らかになった調節機構はそれらの真核生物においても機能していると考えられる。
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