[出典] "Three-Component Repurposed Technology for Enhanced Expression: Highly Accumulable Transcriptional Activators via Branched Tag Array" Kunii A [..] Yamamoto T, Sakuma T. The CRISPR Journal 2018 Oct;1(5)
要約
- 広島大学、国立がん研究センターならびに川崎医科大学の研究グループは、CRISPRシステムに基づいたこれまでの転写活性化システムを融合し、最適化することで、癌抑制遺伝子の効率的な転写活性化を実現した。
CRISPR-Casによる遺伝子転写活性化システムの進化
- 第1世代:dCas9に転写活性化因子(以下、活性化因子)を連結:代表例 sgRNA-dCas9-VP64
- 第2世代:[dCas9に連結する活性化因子の増強] sgRNA-dCas9-VPR (=VP64-p65-Rta), sgRNA-dCas9-SunTag (=GCN4 (10x) scFv-VP64);[sgRNAへの活性化因子の連結] MS2 RNAアプタマーを挿入したsgRNAであるsgRNA2.0に、MS2を介してp65-HSF1を連結したSAM (VP64-dCas9-sgRNA2.0-MS2-p65-HSF1);第2世代関連crisp_bio記事 2017-04-20
- 第2世代改変:[MPH] SAMのsgRNA2.0をdgRNA (dead sgRNA:Cas9によるDGK誘導を抑制する短縮型sgRNA)に置き換えたdCas9-dgRNA-MPH (MS2-p65-HSF1);関連crisp_bio記事 2017-12-08 dCas9によりDSBを回避する第2世代遺伝子活性化法を改変し、マウスin vivoでの標的遺伝子活性化と病態改善を実現;[SPH] SunTagのVP64をSAMのp65-HSF1に置き換えた sgRNA-dCas9-GCN4 (10x)-p65-HSF1;関連crisp_bio記事 2018-01-21 CRISPRメモ_新規dCas9転写活性化プラットフォームによる神経科学
TREE (three-component repurposed tech- nology for enhanced expression)システム
実証実験
- E-カドヘリンの発現レベルが極めて低い膵臓癌細胞株MIA-PaCa2において、E-カドヘリンをコードするCDH1遺伝子のプロモーター領域を標的とするTREEシステムにより、第1世代と第2世代のCRSIRPaでは実現できなかったCDH1遺伝子とE-カドヘリンの顕著な発現を実現した。
- TREEは、HEK293T細胞におけるRANKL遺伝子の活性化でも同様の性能を示したが、MIA-PaCa2細胞では見られなかった細胞毒性が若干見られた。
- 多様な細胞株と多様な遺伝子座を標的とするより広範な実験を行い、最適化条件をさらにつめる必要があるが、TREEは転写活性の手法として有望である。

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