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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1.スプライス部位を標的とするゲノムワイドCRISPRスクリーンで ヒト細胞必須lncRNAs同定
[出典] "Genome-wide screening for functional long noncoding RNAs in human cells by Cas9 targeting of splice sites" Liu Y, Cao Z, Wang Y, Guo Y, Xu P, Yuan P, Liu Z, He Y, Wei W. Nat Biotechnol. 2018 Nov 5.
  • 北京大学のWeiらは先行研究*で、paired-gRNA (pgRNA)を利用して~700種類のヒトincRNAsの機能同定を実現していたが、今回は、スプライシング部位を破壊してエクソンスキッピングまたはイントロンリテンションをもたらすsgRNAsを設計・作出し、10,996 lncRNAsを網羅するスクリーンを実現し、慢性骨髄性白血病 (CML)細胞K562の必須lncRNAs230種類を同定した(*) CRISPR関連文献メモ_2016/11/08 1. CRISPR/Cas9によるヒトlncRNAのゲノムスケール機能喪失スクリーニングを実現。
  • GM12878リンパ芽球様細胞とHeLa細胞についてもスクリーニングを実施し、必須lncRNAsのセットが細胞の種類に依存することを見出した。
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2. ヒトES細胞において、リンチ症候群に相関するミスマッチ修復遺伝子変異の機能を解析
[出典] "Functional Interrogation of Lynch Syndrome Associated MSH2 Missense Variants Using CRISPR-Cas9 Gene Editing in Human Embryonic Stem Cells" Rath A, Mishra A, Ferreira VD, Hu C, Grady JP, Heinen CD. bioRxiv. 2018-11-01
  • 高い発癌性をもたらすリンチ症候群 (遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Hereditary nonpolyposis colorectal cancer, HNPCC))は、生殖細胞系列でのMSH2などのミスマッチ修復遺伝子のミスセンス変異と相関しているが、ミスセンス変異の多くはvariants of uncertain significance (VUS)とされ病原性 (pathogenic significance)が不明であった。
  • UConn Healthなどの研究チームは今回、ヒトES細胞においてMSH2遺伝子に、CRISPR-Cas9とssODNによるHDRにより、10種類のVUSをそれぞれ誘導し、アルキル化DNA損傷に対する応答を見ることで、10種類のうち8種類についてその病原性のhigh, mediumまたはlowへの層別化を実現した。
3. CRISPR-δ法とプロモーターシャッフリング法と組み合わせて、酵母による組換えタンパク質の高分泌生産を実現
[出典] "Secretory overexpression of the endoglucanase by Saccharomyces cerevisiae via CRISPR-􏰀δ integration and multiple promoter shuffling" Sasaki Y, Mitsui R, Yamada R, Yamada R, Ogino H. Enzyme Microb Technol. Accepted 2018-10-29
  • 酵母染色体への外来遺伝子の多コピー導入を可能にしたδ-integration法にCRISPR/Cas9によるδ配列の切断を組み合わせたCRISPR-δ法と多重プロモーターシャフリング法により、組換えタンパク質の転写レベルと活性を向上させる手法;Trichoderma reesei 由来のセルロース分解酵素エンドグルカナーゼII (TrEG)の酵母による高分泌生産 (559 U/L; YEpタイプのベクターを利用する従来法の17.3倍)を実現
  • δ-integration参考文献:"Gene copy number and polyploidy on products formation in yeast" Yamada R, Tanaka T, Ogino C, Kondo A. Appl Microbiol Biotechnol. 2010-08-28.
4. タイプIV CRISPRシステムの構造・機能解析
[出典] "Type IV CRISPR RNA processing and effector complex formation in Aromatoleum aromaticum" Özcan A [..] Randau L. Nat Microbiol. 2018-11-05
  • タイプIV CRISPRはKoonin, MakarovaならびにZhangの2017年レビュー ("Diversity, classification and evolution of CRISPR-Cas systems" Curr Opin Microbiol.)では、タイプIとタイプⅢに対して稀であり、adaptationモジュールを欠いた"rudimentary" CRISPR-cas遺伝子座で特徴づけられている。
  • MPI for Terrestrial Microbiologyをはじめとするドイツの研究チームは今回、2005年にドイツの別グループがゲノム解読をしたAromatoleum aromaticum EbN1のメガプラスミドにおいて、完全なタイプIV cas遺伝子座と隣接するCRISPRアレイを同定し、タイプIV CRISPRシステムの構造・機能解析を進めた。また、染色体上においてタイプI-C CRISPRを同定し、進化過程でのタイプIVとの相関を論じた。
  • Cas6の変異体であるCsf5によって、タイプIV CRISPR RNP (crRNP)に特異的に組み込まれるcrRNAが生成されることを見出した (RNA結合Csf5のX線構造PDB登録ID:6H9H, 6H9I)。
  • 電顕観察からCsf2が、Csf5、Csf3およびCsf1を含むタイプIV crRNPsのバックボーンであることを見出した。
  • 質量分析により、タンパク質間相互作用の部位とタンパク質-RNA相互作用の部位も特定した。
5. 抗CRISPR (anti-CRISPR)タンパク質AcrIF3は、タイプI-F Csy複合体のサブユニットのミミック
[出典] "Structure reveals mechanism of CRISPR RNA-guided nuclease recruitment and anti-CRISPR viral mimicry" Rollins MCF, Chowdhury S [..] Wiedenheft B. (bioRxiv. 2018-10-26) Mol Cell. 2019 03-11.  https://doi.org/10.1016/j.molcel.2019.02.001 [構造データ]EMDB EMD-9191/PDB 6MPU - Structure of double-stranded target DNA engaged Csy complex from Pseudomonas aeruginosa (PA-14) (3.4Å 分解能);2019-03-11 Molecular Cell
  • Pseudomonas aeruginosa由来Csy複合体に標的dsDNAが結合した構造をクライオ電顕法で再構築したところ、先行研究の構造*と比べると、Cas8fサブユニットのC末端のヘリックスバンドルが〜180度回転していた。
  • このdsDNA結合に伴うCas8fのコンフォメーション変化は、Cas2/3"nuclease recruitment helix"を露出させる。
  • この"recruitment helix"はウイルスの抗CRISPRタンパク質AcrIF3と構造的に相同であり、AcrIF3はCas8fヌクレアーゼの"recruitment helix"をミミックであることが示唆された。
  • (*) 2017-10-08 CRISPRサーベイランス複合体CsyのdsDNA結合と抗-CRISPRタンパク質による結合阻害の構造基盤
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