(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160405)
- シナプス小胞は、充填されている神経伝達物質をシナプス間隙へ放出(エキソサイトーシス)後、エンドサイトーシスを経て神経伝達物質の充填を受けるというサイクルで、神経情報伝達を担っている(挿入図参照)。

- シナプス小胞への神経伝達物質再充填の機構についてはこれまで、プロトンを小胞内腔へと汲みあげる液胞型プロトンATPase(V-ATPase)が作り出す小胞膜内外のpH勾配(ΔpH)と電位差(Δψ)ひいては自由エネルギーの勾配(ΔμH+)に拠って実現されていることが、明らかにされていた。
- Reinhard Jahn (Max Planck Institute for Biophysical Chemistry)等は今回、単一のシナプス小胞におけるΔpHとΔψを測定後に神経伝達物質を同定する実験系を構築して、V-ATPaseによる再充填機構が神経伝達物質(グルタミン酸とGABA)によって異なることと、特に、諸説あったGABAの再充填機構の詳細を明らかにした。
- シナプス小胞におけるΔpHとΔψを、それぞれ、pH感受性の緑色蛍光タンパク質変異体 (super-ecliptic phluorin) と電位感受性色素 (VF2.1 Cl) で測定;グルタミン酸小胞とGABA小胞をそれぞれのトランスポーターVGAT (vesicular GABA transporter) とVGLUT1 (Vesicular glutamate transporter 1) の抗体で同定。
- 神経伝達物質によってΔμH+に有意差があり、GABA小胞におけるプロトン流出速度がグルタミン酸小胞よりも速く、VGATのコピー数が多いほどプロトンの浸透性が高まることなどが見出された。
- GABAと塩素イオンがΔψに与える効果も測定し、VGATがGABA/Cl-共輸送体ではなく、GABA/H+対向輸送体とする結論に達した。GABAの組み込みがCl-によって亢進したとするこれまでの報告は、Δψによる駆動からΔpHによる駆動へのバランスの変化が起きたためと考えられる。
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