(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160406-2)
  • 加藤幸成(東北大学)
  • [ポドプラニン(PDPN)とCLEC-2]
    • PDPNは、C型レクチン様レセプターの一種(C-type lectin-like receptor-2, CLEC-2)の内在性リガンドであり、様々ながん細胞で高発現するとともに、リンパ管内皮細胞や有足細胞といった正常細胞でも発現し、また、I型肺胞上皮細胞に豊富に存在しそこでは”T1α”と呼ばれている。
    • PDPNは、がん細胞の転移に関連する血小板凝集(aggregation)誘導活性を有することから、著者らは "Aggrus”と呼んでいる。PDPNはまた、リンパ管内皮細胞特異的マーカーであり、PDPN-CLEC-2のシグナル伝達が胎生期における血管とリンパ管の分離の鍵となる血小板凝集をもたらす。
    • ヒトPDPN(hPDPN)とCLEC-2の相互作用には、PDPNのN末端領域に3回タンデムリピートしている血小板凝集活性化(PLatelet AGgregation-stimulating, PLAG)ドメインの中のPLAG3におけるGlu47とAsp48ならびにα2-6に結合したシアル酸残基が関与する。生物種間でPDPNの配列モチーフは保存されている。CLEC-2は、“EDXXXT/S” (X:任意のアミノ酸/TまたはS:ジシアリル・コア)の認識モチーフを有する。
  • 著者らは、Thr52のグリコシル化が、hPDPNとCLEC-2の結合に必須であり、Thr52のシアル酸付加O -グリカンがhPDPNの血小板凝集活性に必須であることを、見出していた(挿入図参照)。したがって、Thr52のグリコシル化を検出することで、病態生理学的にhPDPNがCLEC-2に結合する傾向にあるか、また、血小板凝集を起こす傾向にあるか、を判定可能となる。
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  • これまで、抗hPDPNモノクローナル抗体(mAbs)が作出されてきたが、グリコシル化されたThr2を含むエピトープ特異的なmAbsは存在していなかった。筆者らは今回、がん特異的抗体作出技術CasMabに拠って、Tグリコシル化Thr2に特異的モノクローナル抗体(anti-glycopeptide mAb, GpMab)、LpMab-12、を作出した:
    • LpMab-12は、フローサイトメトリー法において内在性hPDPNを検出
    • LpMab-12は、免疫組織化学法において、hPDPNを発現しているリンパ内皮細胞とがん細胞を明確に標識
    • LpMab-12の最小エピトープはhPDPNのAsp49-Pro53
    • LpMab-12は、N-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)を含むhPDPN糖ペプチドに対して、 シアル酸が付加されている場合は結合し、付加されていない場合は認識しない。
  • LpMab-12は、hPDPNに関する新たな診断ツールとなる。