(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160407-2 2016/04/07)
- [論文] 非翻訳領域の機能マッピングを可能とするsgRNAライブラリー生成技術“molecular chipping”:
Jijun Cheng; Jun Lu (Yale U. School of Medicine/Yale Cancer Center)- 低コストで設計の自由度が高く標的領域を高密度でカバーするsgRNAのライブラリー生成技術“molecular chipping”を開発し、造血細胞において高発現しその発現調節異常は慢性骨髄単球性白血病などの疾患の病因となるマイクロRNA“miR-142”の調節領域の解析によってその性能を実証した。
- Molecular chipping法は砕木機のように標的DNA領域をランダムに断片化した後、EcoP15I制限酵素を介して、sgRNAライブラリーを生成する。
- Molecular chipping法によってpre-miR-142領域を同定し、また新規に、miR-142生合成に重要なcis ドメイン2種類同定した。
- [論文] アフリカツメガエル(X. tropicalis )胚における神経堤への変異導入:Yonglong Chen (南方科技大学); Hui Zhao (香港中文大学)
- 神経堤(neural crest, NC)の機能喪失実験にはこれまでもっぱらモルフォリノアンチセンスオリゴが利用されてきたが、今回、CRISPR/Cas9が有効な実験手段であることを実証した。
- 15遺伝子における16か所をそれぞれ標的とする単一sgRNAとCas9 mRNAの1細胞期胚への注入によって、12遺伝子座へのindel変異導入を、9.3%〜57.8%の効率で実現。誘導されたindel変異は、G1世代に効率的に継承された。
- 一対のsgRNAsを利用して大規模なセグメントの削除ならびに逆位形成を実現。
- オフターゲット作用がいくつかの遺伝子座で発生したが、D10A Cas9ニッカーゼを利用することで低減可能。
- [特許] Vinod Ranganathan; Donald Zack (Johns Hopkins U. School of Medicine)
- CRISPR/Cas9システムで標準的に利用されるU6プロモーターの場合、標的サイトはGN19NGGに限定されるが、H1プロモーターの利用によってAN19NGGも標的可能にする技術
- [関連論文] “Expansion of the CRISPR–Cas9 genome targeting space through the use of H1 promoter-expressed guide RNAs.” Nat. Commun. 2014 Aug 8;5:4516.
- [ハイライト] Cas9における非対称性の意味:Nicole Rusk (Editor)
- UC BerkeleyのJacob E. Cornらの論文をハイライト(Richardson, C. D. et al. "Enhancing homology-directed genome editing by catalytically active and inactive CRISPR-Cas9 using asymmetric donor DNA." Nat. Biotechnol. 2016 Mar;34(3):339-44. Published online 2016 Jan 20.)
- Cas9はその2つのヌクレアーゼドメインHNHとRuvCによって、sgRNAが結合したDNA鎖(標的ストランド)と非標的ストランドを切断し、非相同末端結合(NHEJ)または相同組換えによる修復(HDR)を誘導する。Cornらは、Cas9がDNA切断後も5.5時間も標的サイトに止まり、Cas9がDNAから解離する際に、非標的ストランドの3’末端(PAMから遠位)から解離し始め、ssDNAが結合可能になることを発見(非対称性)。
- 非標的ストランドと相補的で切断サイトに対して非対称な最適の長さのssDNAを利用することで、Cas9によるHDRを60%の効率のHDRを達成し、また、一塩基多型の導入にも成功した。
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