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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160409)
  • Corresponding author: Hongtao Yu (U. Texas Southwestern Medical Center)
  • 染色体の分離のキープレーヤは、姉妹染色分体をトポロジカルに接着しているコヒーシン、コヒーシンを切断するセパラーゼ(separase)、並びに、セパラーゼを調節するセキュリン(securin)である(挿入図 a) 参照)。セパラーゼは、細胞分裂期以外はセキュリン結合によって不活性化されているが、セキュリンが後期促進複合体(anaphase promoting complex/cyclosome, APC/C)によってユビキチン化・分解されると活性化し、コヒーシンのサブユニットであるクライシン(Scc1)を切断し(挿入図 b) 参照)、染色体が分離することが知られていた。
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  • また、セパラーゼはシステインプロテアーゼの一種であり、N末端のアルマジロ(ARM)リピートドメインと保存性の高いC末端セパレーゼプロテアーゼドメイン(SPD)で構成され、SPDは、擬プロテアーゼドメイン(PPD)と活性プロテアーゼドメイン(APD)で構成されていることが知られていた。
  • 今回、好熱性菌類Chaetomium thermophilum 由来セパレーゼのSPD単体の構造およびコヒーシン切断部位由来のリン酸化されたペプチドまたはリン酸化された阻害性ペプチドが共有結合した構造を高分解能で解き(挿入図 c) 参照)、セパレーゼがコヒーシンを認識する機構と細胞周期のM期キナーゼの1種であるポロ様キナーゼ1(Plk1)によるコヒーシンのリン酸化が切断を亢進する機構を明らかにし、セキュリンがセパレーゼへの他の基質の結合を競合阻害することを示唆した。
  •  進藤軌久・広田 亨(がん研究会がん研究所)「セパラーゼの活性制御のしくみからひもとく染色体分離の機構」ライフサイエンス領域融合レビュー 2015年4月27日から引用(© 2015 進藤軌久・広田 亨 Licensed under CC 表示 2.1 日本
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