薬剤をオンデマンドで生産する小型・可搬・再構成可能な連続フロー生産装置 : crisp

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（創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160415）
[出典] “On-demand continuous-flow production of pharmaceuticals in a compact, reconfigurable system.” Andrea Adamo et al.* Science. 2016 Apr 1;352(6281):61-7. Published online 2016 March 31；“Pharmacy on demand - New, portable system can be configured to produce different drugs.” Anne Trafton. MIT News 2016 Mar 31.

(*)Corresponding authors:Timothy F. Jamison; Klavs F. Jensen; Allan S. Myerson (MIT)
薬品は大型の容器を使用して多段階の反応を繰り返すバッチ方式で生産される。製薬企業では、バッチ方式による化合物合成工場からタブレットなどへ製剤する工場へ輸送される。このシステムは柔軟性に欠け、緊急の必要への対応が困難であり、サプライチェインが絶たれてしまうリスク抱えている。MITの研究チームは今回、バッチ方式に変わる首題の生産装置を開発した。
装置のサイズは1.0m(幅)×0.7m(奥行き)×1.8 m(高さ)。２つのモジュールのうち第１のモジュールが、250 ℃／17気圧までの環境で稼働するフロー化学合成装置であり、第２のモジュールにて結晶化／精製／乾燥を経て投与可能な薬液とする。また、超音波による品質検査の機能も備えている。
United States Pharmacopeia (米国薬局方)の標準を満たす品質で、１日あたり数100回から1,000回の用量に足る薬液を生産可能。現在、抗ヒスタミン薬ジフェンヒドラミン塩酸塩、局所麻酔薬塩酸リドカイン、抗不安薬などに用いられるジアゼパム、および抗うつ剤塩酸フルオキセチン (プロザック)の４種類を生産可能。装置の再構成による異なる薬剤生産への切り替えは数時間で可能。
本装置によって、大規模なバッチ方式では採算が合わない少量の薬剤生産が現実的になり、薬剤保存が困難な地域でのオンデマンドでの薬剤生産に利用可能であり、また、長期保存が困難な化合物の利用も可能になる。
今回の研究開発は、Novartisなどの支援を受けた研究開発の成果を継承し、米国国防総省国防高等研究事業局(Defense Advanced Research Projects Agency)の支援を受けて行われた。研究チームは現在、サイズを40%縮小し、より複雑な合成反応を必要とする製剤へと拡張する開発第2段階に進んでいる。