1. ヒトゲノム編集:進め方ではなく、是非を問え
[出典] "Human genome editing: ask whether, not how" Hurlbut JB. Nature. 2019-01-02.
- 2015年に開催された第1回ヒトゲノム編集国際サミットを組織した生命倫理学者と科学者は、「安全性と効用が証明されること」と「広く社会一般のコンセンサスの成立」が満たされるまでは、生殖細胞系列ゲノム編集を進めるべきではない、とした。
- しかし、第2回ヒトゲノム編集国際サミットからのメッセージは、CRISPRbabies (出典ではCRISPR twins)に対して、「その進め方の標準を定めること」に集中しており、「社会的コンセンサス」の要件は置き去られた。
- もっとも、「次世代に継承されるゲノム改変を加えて良いのか否か」という問いは、科学コミュニティーに向けられた問いではなく、人間社会全体に向けられた問いである。世代を超えて継承される遺伝的改変が、親と子、医師と患者、国と市民、社会とその構成員といった基本的な関係性にどのような影響を与えるか、我々は未だ理解するに至っていない。
- 可能であるがその意味を理解することができない技術を前にして、人間社会としてコンセンサスを醸成することを急がなければならない。
- crip_bio注:著者は、"地球規模のゲノム編集'測候所' (a global observatory for gene editing)"の提唱者の一人
- 関連crisp_bio記事:CRISPR遺伝子改変ベビー中国で誕生か(4) 論点整理 - 関連記事を順次追加
2. Locally Fixed Alleles (LFA): 遺伝子ドライブを島の生物集団に局限する手法
[出典] "Locally Fixed Alleles: A method to localize gene drive to island populations" Sudweeks J [..] Lloyd AL. bioRxiv. 2018-01-02.
- 遺伝子ドライブの課題の一つが、標的とする生物集団の外への作用拡大を防止することである。米国North Carolina State Universityを中心とする米国とオーストラリアの研究グループは、他の生物集団から遺伝的に有意に隔離されていて比較的小規模な生物集団に適用可能な遺伝子ドライブ限定法を提案した。
- 海に囲まれた島の中の小規模な生物集団では、遺伝的ドリフトが、ゲノム上のいくつかの遺伝子座でアレルの固定化に至るとされている。特定の島で固定化されており、その他の地域では固定化されてないアレルを標的とするCRISPR/Cas9に基づく遺伝子ドライブの可能性を数理モデルで評価した。
3. [レビュー] CRISPR技術によるゲノム編集と診断の臨床応用
[出典] Review "Clinical applications of CRISPR‐based genome editing and diagnostics" Foss DV, Hochstrasser ML, Wilson RC (UC Berkeley). Transfusion. 2019-01-02. (CRISPR技術の臨床応用の試みと将来を展望)
- CRISPR技術を利用したex vivoゲノム編集を介した癌免疫療法や、異常ヘモグロビン症原因変異の修復の臨床試験が計画され一部始まりつつある。
- これらは理論的に可能なCRISPR療法のごく一部であるが、理論を現実にするには超えなければならない技術的課題が多々残っている。
- 最近の注目すべき展開は、CRISPR技術により病原体や癌に相関する配列を検出する診断システムの開発である。
- crisp_bio注:米国の臨床試験登録WebサイトをCRISPRで検索すると、2019-01-03時点で、24件ヒット(not yet recruiting数件と、1件の取り下げを含む)
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