1. プール型CRISPRiとRNA-seqによるエンハンサー・遺伝子ペアのハイスループット・スクリーニング
[出典] "A Genome-wide Framework for Mapping Gene Regulation via Cellular Genetic Screens" Gasperini M [..] Shendure J. Cell. 2019-01-03;bioRxiv. 2018-05-04 "crisprQTL mapping as a genome-wide association framework for cellular genetic screens"
- ヒトゲノム上のエンハンサーとして、ENCODEプロジェクトは生化学的マークに基づいて130万を超える候補をあげており、GWASによって、75,000種類を超えるハプロタイプが同定されている。
- しかし、エンハンサー候補のそのほとんどはその真偽が検証されておらず、また、その調節対象遺伝子も不明である。
- U Washington (Seattle)とUCSFの研究グループは今回、エンハンサー/遺伝子ペアのハイスループット・スクリーニングを目指して、精度が上がらない連鎖不平衡解析法に替えて、遺伝子の発現量を量的形質と見なして遺伝子発現に影響を与える遺伝子座を絞り込んでいくeQTL (expression quantitative trait locus)の手法に着想を得たcrisprQTL (bioRxiv投稿時の命名)法を開発した。
- ヒトゲノム上のエンハンサー候補から、アプリオリな仮説を立てることなく、K562細胞において、dCas9-KRABにもとづくCRISPRiで5,920種類のエンハンサー候補に変異を導入し、それぞれのエンハンサー候補の編集がシスに及ぼす効果を、254,974件の一細胞トランスクリプトミクスで判定し (一細胞あたりgRNAsの中央値28)、エンハンサー・遺伝子組み664種類のセットを同定した。このセットは、特定の転写因子、非ハウスキーピング系および標的遺伝子との近さ (ゲノム上および染色体の3次元構造上)で、特徴付けられた。
- 遺伝子発現にシスに影響を与えるエンハンサー候補が~10%に止まったことは「意外」としてその原因について考察:シャドウエンハンサー(shadow enhancer)の影響;CRISPRiに対する感受性がエンハンサー候補間で不均一;gRNAの活性がエンハンサー間で変動;転写開始時に限り転写に関与するエンハンサーは対象外;エンハンサー候補の選択条件
- 筆頭著者M. Gasperiniのツイートに解説動画あり:https://twitter.com/MollyGasp/status/1080924185621233664
2. 神経変性症の一種SCAR16モデル細胞をiPSCのCRISPR/Cas9を介して樹立
[出典] "Generation of a homozygous CRISPR/Cas9-mediated knockout human iPSC line for the STUB1 locus" Schuster S, Saravanakumar S, Schöls L, Hauser S. Stem Cell Res. 2018-12-21.
- SCAR16は常染色体劣性遺伝性脊髄小脳失調症16 (Spinocerebellar ataxia, autosomal recessive 16)を意味する。STUB1/CHIPは、細胞内のタンパク質恒常性を担う因子であり、神経変性症と相関するタンパク質と相互作用することが知られており、STUB1遺伝子のミスセンス変異あるいはトランケーションはSCAR16の病因である。
- University of Tübingenの研究チームは今回、SCAR16モデル細胞として、CRISPR/Cas9によりCHIPノックアウトiPSCを樹立した。
3. CRISPR/Cas9によるTBK1遺伝子の効率的ノックアウトを実現し、STINGを介したINF-β誘導を、ニワトリ胚性線維芽細胞DF-1で確認
[出典] "CRISPR/Cas9-mediated chicken TBK1 gene knockout and its essential role in STING-mediated IFN-β induction in chicken cells" Cheng Y, Lun M, Liu Y, Wang H, Yan Y, Sun J. Front. Immunol. 2019-01-04.
- ニワトリにおけるCRISPR/Cas9遺伝子編集は、ヒトや他の生物に比べて遅れていたが、上海交通大学の研究チームは今回、TBK1遺伝子を標的とする二重のsgRNAsを利用し、ピューロマイシンスクリーニングを経て、90%前後の効率で TBK1ノックアウトを実現した (遺伝子編集に使用したコンストラクトについては、原論文 FIGURE 1から引用した下図左を参照)。
- 限界希釈法を介して樹立したTBK1欠損の単クローン性細胞株において、STINGに誘導されるIFN-β誘導が阻害されることを見出した(STINGからTBK1を介した1型インターフェロン誘導のシグナル伝達経路については、ライフサイエンス新着論文レビューから引用した上図右参照)。
- TBK1ノックアウトシステムは、初代胚性線維芽細胞にも有効であった。
4. [特許] カルフォルニア大学から、CRISPR-Cas9遺伝子編集技術をめぐる3番目の米国特許成立
[出典] News "UC's latest CRISPR patent" Harrison C. Nat Biotechnol. 2018-01-03.
;"University of California Awarded U.S. Patent for DNA-targeting complex at heart of CRISPR-Cas9 gene editing" PR Newswire 2018-10-30.;特許文書 "Methods and compositions for RNA-directed target DNA modification and for RNA-directed modulation of transcription" US10113167B2. 成立日 2018-10-30. 発明者 Doudna JA, Jinek M, Chylinski K, Charpentier E. 権利者 U. Vienna, U. California.
- Cas9とsgRNAをRNPで送達するかまたはCas9を発現させた細胞にsgRNAを送達することにより、真核生物細胞および無細胞系でのCRISPR-Cas9および-dCas9による標的DNA編集に関する包括的内容


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