(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160421)
- Corresponding authors: David Klenerman (U. Cambridge); A. Radu Aricescu (U. Oxford); Simon J. Davis (U. Oxford)
- キナーゼ(Lck)とホスファターゼ(CD45)の隔離によってTCRが活性化されるモデル(以下、隔離モデル)を支持する実験結果が蓄積されてきているが、その分子機構には不明なところが多々ある。英国研究チームは今回、CD45細胞外ドメン(ECD)のX線結晶構造解析やCD45 ECDとセマフォリン(Sema6A)複合体の電子顕微鏡単粒子再構成法による構造観察と入射角可変の全反射照明蛍光顕微鏡による観察などを行い、他の受容体型チロシンホスファターゼ(RPTPs)とも比較し、隔離モデルの分子機構の一端を明らかにした。
- CD45 ECDは、N末端のムチン様領域、システインが豊富なd1ドメイン、3型フィブロネクチンドメインのd2〜d4そしてC末端領域で構成されている(挿入図参照)。
- CD45のECDは堅固である:他のRPTPsに対して独特なドメイン間の界面構造とd1ドメインに存在する豊富なシステインが関与する多くのジスルフェド結合に拠る。
- CD45のECDは長い:ECDのN末端領域はアイソフォームによって41〜202残基の幅があるが、TCRとリガンドの複合体や接着タンパク質のCD2とCD48の複合体の構造よりも長い。
- CD45は細胞膜に対して直立する。
- 以上のことから、TCRがMHC表面に提示された抗原(リガンド)に結合しようとする際には、CD45はその領域(‘close contacts’)から立体構造上の理由で排除されることが示唆される。
- さらに、CD45とLckが自律的に互いに隔離する‘close contacts’領域が生じると、TCRにリガンドが未結合の段階で、TCRから細胞内へのシグナル伝達が始まることを見出した。TCRのリガンドの役割は、シグナル伝達を開始することではなく、受容体を引き寄せてシグナル伝達のレベルを高めることにあると考えられる。

コメント