1. [コメンタリー] 第2回ヒトゲノム編集国際サミットにおける講演と参加者の反応
[出典] "Fearful old world? A commentary on the Second International Summit on human genome editing" Greenfield A (MRC, UK). Mamm Genome. 2019-01-02;著者は講演者の一人;英国Human Fertilisation & Embryology Authority (HFEA)ならびにNuffield Council on Bioethicsのメンバー;3つのテーマで見解
- 切断するか、切断しないか - 相同組み換え修復と塩基編集 (base editing)
- 衝撃と畏怖 - ヒト胚におけるCCR5遺伝子編集
- 生殖細胞系列編集を臨床応用に展開していく上で、社会的コンセンサスは必要か (生殖細胞系列に介入 (intervention)する技術としてミトコンドリア移植、着床前診断 (PGD)ならびに体外受精 (IVF)も取り上げながら、遺伝性疾患を帯びていない新生児誕生を共通目的として社会的に受容されるであろう、と論説)
- 関連crisp_bio記事:2018-12-04 CRISPR遺伝子改変ベビー中国で誕生か(4) 論点整理 - 関連記事を順次追加
2. 仮想現実でCRISPRを見る
[出典] REVIEW "Hololens and Vive Pro: Virtual Reality Headsets" Ogdon DC. J Med Libr Assoc. 2019-01-01.
- 保健科学や医学系の図書館における仮想現実システムの位置付けを論じる中で、HTCのVIVEproとMicrosoftのHoloLensをレビューし、HoloLensのアプリの一つとしてThe Cystic Fibrosis CRISPR Experienceを記載 (原文献引用Table 1/Table 2引用下図参照);

体外から分子レベルまでのスケールで、嚢胞性線維症 (CF)療法を目指すCRISPR/Cas9技術を「体験」可能 (Microsoft Storeサイトからダウンロード:無料;Mac非対応)
3. トマトゲノムの単一/多重サイト編集を実現する効率が良く使い易いオープンソースCRISPR/Cas9キット
[出典] "Rapid and user-friendly open-source CRISPR/Cas9 system for single- or multi-site editing of tomato genome" Hu N [..] Li Z. Hortic Res. 2019-01-01.
- Cas9 mRNAとsgRNAsは、動物の一細胞胚には注入可能であるが、植物細胞への注入はその細胞壁のために困難である。このため、植物細胞へは、sgRNA-Cas9配列を帯びたT-DNAをアグロバクテリウムを介して導入する手法がとられてきた。また、ゲノム上の複数サイトを同時に標的する多重編集法が工夫されてきた。
- 重慶大学の研究チームは今回、合成生物学のパーツ、デバイスおよびシステムの標準化および相互運用性の向上を目指しているBioBrickのキットとして、CRISPR/Cas9トマト編集キットを開発した。
- このキットは二種類のバイナリーべクター (pHNCas9とpHNCas9HT*)、sgRNA、プライマー設計支援ツールなどからなる。
- (*)pHNCas9 - ゴールデンゲートクローニングを介したワンポット合成で8種類までのsgRNA(s)多重発現カセットを構築可能;pHNCas9HT - pHNCas9を、PCRとプラスミドDNA抽出など操作を必要せず、Agrobacterium tumefaciensへの直接形質転換を実現するベクター
4. [レビュー] 作物の多重な非生物的ストレスに対する耐性機構の解明:非生物的ストレスに関与するエチレン応答因子 (ERF)とCRISPR-Cas9によるERFs編集
[出典] "Ethylene Response Factor (ERF) Family Proteins in Abiotic Stresses and CRISPR–Cas9 Genome Editing of ERFs for Multiple Abiotic Stress Tolerance in Crop Plants: A Review" Debbarma J [..] Singha DL, Chikkaputtaiah C. Mol Biotechnol. 2019-01-02.
- ストレス応答性転写因子AP2/ERFスーパーファミリー・タンパク質の機能解析
5. [レビュー] 血液疾患の遺伝子治療
[出典] Review "Gene therapy for blood diseases" Kohn DB. Curr Opin Biotechnol. 2018-12-29.
- タンパク質欠損が病因である遺伝性血液疾患 (血友病、α1-アンチトリプシン欠乏症、遺伝性血管性浮腫、ライソゾーム病など)のin vivo遺伝子治療と、血液細胞の異常を伴う遺伝子疾患 (免疫不全、異常ヘモグロビン症、ライソゾーム病、白質ジストロフィー、そして癌・白血病)のex vivo遺伝子治療の現状
6. [概観] 先天性眼疾患療法の様相と展望
[出典] Overview "Prospects and modalities for the treatment of genetic ocular anomalies" Gregory-Evans CY, Wang X, Gregory-Evans K. Hum Genet. 2018-12-24.
- 発症予防 (葉酸やヒストンメチル化酵素阻害酵素の摂取・投与);組織再生と移植による治療;ナンセンス変異の抑制 (atalurenなどの薬剤);遺伝子編集
7. ヒト造血幹細胞におけるTALENゲノム編集を介して胎児型ヘモグロビン発現の抑制を外す
[出典] "TALEN-mediated gene-editing of HBG in human hematopoietic stem cells leads to therapeutic fetal hemoglobin induction" Lux CT [..] Rawlings DJ. Mol Ther Methods Clin Dev. 2018-12-31.
- University of Washington (Seattle), Seattle Children's Research Institute、Fred Hutchinson Cancer Research CenterならびにBluebird Bioの研究チームは、CRISPR/CasシステムではなくTALENによる遺伝子編集技術により、γヘモグロビンのプロモーター (HBG1とHBG2)の胎児型ヘモグロビン発現抑制転写因子BCL11A結合エレメントを編集することで、in vitroおよびin vivoにおいて、鎌状赤血球症やβサラセミアの療法に展開可能な胎児型ヘモグロビン発現を実現
8. 転写因子デコイ (transcription factor decoy, TFD)によりサイレント生合成遺伝子クラスタを活性化
[出典] "Activation of silent biosynthetic gene clusters using transcription factor decoys" Wang B, Guo F, Dong SH, Zhao H. Nat Chem Biol. 2018-12-31.
- 転写因子は、プロモータ/エンハンサ領域に見られる特異的なDNA配列に結合することで、遺伝子発現を調節し、多くの場合遺伝子発現を活性化するが、遺伝子発現抑制に働く転写因子も存在する。TFDは、転写因子結合モチーフを模したオリゴヌクレオチドであり、抑制性の内在転写因子のプロモータ/エンハンサへの結合を競合阻害することで、天然状態では抑制されていた遺伝子の発現を活性化する因子である (Ann N Y Acad Sci. 2005)。
- University of Illinois at Urbana-Champaignの研究チームは、CRISPR/Cas9技術ではなく、転写因子デコイを利用することで、Streptomyces属において天然状態ではサイレンスされている大規模な天然物生合成遺伝子クラスタの活性化を実現し、新たな生理活性物質の産生にも成功した。
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