1. [レビュー] CRISPR-Cas9による癌療法
[出典] REVIEW "CRISPR–Cas9 a boon or bane: the bumpy road ahead to cancer therapeutics" Ghosh D, Venkataramani P, Nandi S, Bhattacharjee S (Cold Spring Harbor Lab). Cancer Cell Int. 2019-01-08.
2. Cas9遺伝子編集による蛍光標識を介して、小胞の膜繋留と膜融合時のエクソシスト複合体の形成・分解の動態を観察
[出典] 論文 "Exocyst dynamics during vesicle tethering and fusion" Ahmed SM, Nishida-Fukuda H, McDonald WH, Gradinaru CC, Macara IG. Nat Commun. 2018-12-03;ハイライト "Exocytosis: A New Exocyst Movie" Mei K, Guo W. Curr Biol. 2019-01-07.
3. CRISPR技術によるヒト白血球型抗原改変を介して組織適合性iPSCsを作出
[出典] "Development of immunocompatible pluripotent stem cells via CRISPR-based human leukocyte antigen engineering" Jang Y, Choi J, Park N, Kang J, Kim M, Kim Y, Ju JH. Exp Mol Med. 2019-01-07.
- 幹細胞治療は難病の治療法として有望であるが、ドナーとレシピエントのHLA適合と十分なドナー幹細胞の確保が課題であった。後者はiPSCsの出現で解決されたが、前者の適切な対処法が存在しない。
- The Catholic University of Koreaの研究チームは今回、CRISPR/Cas9遺伝子編集によりドナーからの幹細胞のHLA改変による解決法のアイデアを具体化した (原論文Fig.1 引用下図参照)。

- ドナー由来のiPSCからヘテロ型HLA-BをCRISPR/Cas9によりノックアウトすることで、幹細胞マーカを維持したまたホモ型HLA-A iPSCsを作出し、HLAを標的とする補体依存性細胞障害アッセイにより免疫原性がコントロールから低減されることを確認した。
4. ヒトHSPCsとiPSCsにおける蛍光標識したCRISPR/Cas9 RNPによる遺伝子ノックアウトから、GADD45bがストレス応答に必須であると判明
[出典] "Fluorescent labeling of CRISPR/Cas9 RNP for gene knockout in HSPCs and iPSCs reveals an essential role for GADD45b in stress response" Nasri M, Mir P [..] Skokowa J. Blood Adv. 2019-01-08.
- HSPCsは培養中に分化し増殖能を失っていくためゲノム編集が実現した細胞集団をできる限り早期に選別する必要がある。University Hospital TubingenとGerman Cancer Research Centerの研究チームは今回この課題を、ローダミンまたはフルオレセインで標識したgRNAとCas9タンパク質から構築した RNPを標的細胞にトランスフェクションまたはエレクトロポレーションすることで解決し、発現が低レベルでコンテクストに依存する転写物の検出を実現した。
- 今回の手法は、Cas9を蛍光タンパク質を融合する手法やRNPを化学的に蛍光標識する手法に比べて細胞に対する侵襲性が低い。
- HEK293FT細胞、Jurkat細胞、iPSCおよびCD34陽性HSPCにてGADD45Bノックアウト実験を行いGADD45BがHSPCsとiPSCsにおける紫外線ストレス応答の必須遺伝子であることを同定した。
5. ショウジョウバエの生物時計神経細胞回路の光スイッチ機構
[出典] "Light-mediated circuit switching in the Drosophila neuronal clock network" Schlichting M, Weidner P, Diaz M, Menegazzi P, Dalla-Benetta E, Helfrich-Förster C, Rosbash M. bioRxiv. 2019-01-08.
- ショウジョウバエの生物時計におけるチトクロムを介した同調の分子機序の解明が進んできた一方で、光の情報が光受容器を介して生物時計に統合される分子機序は不明である。
- Brandeis UniversityとUniversität of Würzburgの研究チームは今回、光受容器のサブユニットが神経ペプチドPDF (pigment-dispersing factor)を放出する生物時計神経細胞lLNvsを活性化するパスウエイの存在を明らかにした。細胞特異的CRISPR/Cas9アッセイにより、PDFが暗期活動のタイミングに重要な神経細胞と直接相互作用することを同定。
6. CRISPRノックアウトによるC. elgansのlincRNAs変異体ライブラリー作出と体系的機能解析
[出典] "Systematic evaluation of C. elegans lincRNAs with CRISPR knockout mutants" Wei S, Chen H, Dzakah EE [..] Shan G. Genome Biol. 2019-01-08.
- 中国科学技術大学などの研究チームはlincRNAs (long intergenic RNA)ノックアウト系統155種類を作出し、その変異が6種類の表現形質に影響を与えた23種類のlincRNAsについて、その作用機序ならびに転写因子による発現調節を解析した。
- 例えば、転写因子のUNC-30とUNC-55が協働してlinc-73の発現を調節し、linc-73が近接するキネシン遺伝子unc-104の発現をcisに調節し、ひいては、線虫の運動に影響を及ぼすことを同定した。
7. CRISPR-Cas9 in situゲノム編集によりBacillus subtilisのサブチリシンEを耐熱化
[出典] "CRISPR-Cas9 In Situ engineering of subtilisin E in Bacillus subtilis" Price MA, Cruz R, Baxter S, Escalettes F, Rosser SJ. PLoS One. 2019-01-07.
- 枯草菌ゲノム編集にはこれまで、予めcas9遺伝子とtracrRNAを挿入したゲノム改変菌株にcrRNAとドナーDNA (dDNA)を単一プラスミドで導入するか、または、cas9、sgRNAおよびdDNAを単一のプラスミドで導入する手法が用いられてきたが、前者は多重編集にあたってcrRNAを一旦除去する必要があり、後者はサイズの大きなシャトルベクター構築に2段階の処理を必要とした。
- University of EdinburghとIngenza Ltdの研究チームは今回、cas9とsgRNAの双方を帯びた単一プラスミドと、dDNAに相当するオーバーラップ伸長PCR (OE-PCR)産物 [原論文Fig. 2引用下図B)参照]を、同時に形質転換 [co-transformation; 下図C)参照]する手法を開発し、これらの課題を解決した。
- はじめにα-アミラーゼ遺伝子 (amyE)のノックアウト実験で編集効率76%を確認した。続いて、タンパク質工学で広く利用されている酵素であるサブチリシン (subtilisin) Eの遺伝子 (aprE)の塩橋部分 (Gln125-Gln377-Gln381)を、aprEの耐熱性B. clausiiのホモログM-proteaseの塩橋部分のアミノ酸配列Arg19-Glu271-Arg275に置換することで、耐熱性と活性の向上を実現した。
8. CRISPR/Cas9ノックアウト実験によりカイコの卵のサイズを制御する遺伝子同定
[出典] "Enlargement of egg size by CRISPR/Cas9-mediated knockout of a sex-linked gene in the silkworm, Bombyx mori" Fujii T, Banno Y. J Insect Biotechnol Sericology. 2018.
- 濾胞上皮細胞のサイズではなく数の増加により大きな卵を産出する変異体において、ヒトのPhytanoyl-CoA dioxygenase domain-containing 1 (PHYHD1) 遺伝子のホモログが欠損することを見出していた九州大学の研究チームは今回、CRISPR/Cas9ノックアウト実験により、BmPHYHD1遺伝子がカイコの卵の大きさを制御することを確認した。
9. 糸状菌Fusarium fujikuroiのCRISPR/Cas9ゲノム編集とジベレリン酸 (GAs)産生効率化への応用
[出典] "CRISPR/Cas9-based genome-editing in the filamentous fungus Fusarium fujikuroi and its application in strain engineering for gibberellic acid production" Shi TQ [..] Ji XJ. ACS Synth Biol. 2019-01-07.
- 核移行シグナル、gRNAおよびプロモーターを選択することで79.2%の編集効率を達成し、また、多重編集も実現し、代謝経路を改変することで、産物としてGA3を農業により有用なGA4とGA7の混合への切り替えに成功した。
10. 糸状菌 Trichoderma reesei遺伝子編集にはRNP
[出典] "Fast gene disruption in Trichoderma reesei using in vitro assembled Cas9/gRNA complex" Hao Z, Su X. BMC Biotechnol. 2019-01-09.
- 中国農業科学院飼料研究所の研究チームは、T. reeseiにおいて、Cas9の細胞内発現による遺伝子編集はオフターゲット作用を伴うが、CRISPR-gRNAのRNPを直接形質転換することで高精度な遺伝子破壊およびノックインを実現。




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