(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160102)
  1. [成書] GMO sapiens:Paul S. Knoepfler (UC Davis) 
     幹細胞、がん細胞、ならびに、クロマチン/エピジェネティクスの研究を進めているP. S. Knoepflerの著書.GMO Sapiensは著者によるGMO(Genetically modified organism)とHomo sapiensからの造語.SFから現実になりつつあるヒトの改変について積極的に情報提供および問題提起することによって、建設的な議論を広げることを目的とした啓蒙書(Amazonサイト): 
     第1章 神を演じる;第2章 GMOsの誕生と爆発的成長;第3章 ヒトのクローニング;第4章 母なる自然への干渉;
     第5章 遺伝学でより良い子孫を;第6章 GMO sapiensのDIY;第7章 優生学とトランスヒューマニズム
     第8章 ヒトゲノム改変の文化;第9章 GMO Sapiensの今とこの先
  2. [論文] 出生後ゲノム編集によってDMDモデルマウスのジストロフィンを部分的に回復:Eric N. Olson (U. Texas Southwestern Medical Center)
    • Cas9とDmd 遺伝子のエクソン23を標的とするsgRNAとSpCas9をAAV9(AAV血清型9)によってDMDモデルのmdx マウス新生仔に送達:12週齢で筋肉内注射;18週齢後眼窩注射;1週齢で腹腔内注射
    • 程度こそ異なるがいずれの場合も、心筋と骨格筋においてジストロフィンタンパク質の発現が回復し、注射後3~12週間にわたり発現が上昇した.また、握力試験は注射後の骨格筋の機能回復を示した.
    • CRISPR/Cas9システムは、出産後のDMDの病因変異さらにその他の病因単一遺伝子変異の修正に利用可能である.
  3. [論文] In vivo ゲノム編集によってDMDモデルマウスの筋機能を改善:Charles A. Gersbach (Duke U.)
    • イントロン22と23を標的とする2本のgRNAとSaCas9をAAV8(血清型8)にのせて、mdx マウスの前脛骨筋、腹腔あるいは血流に注入した.1回の注射の結果、新生仔と成体ともに、筋線維および心筋細胞において、変異エクソン23が除去されたジストロフィン遺伝子が発現し、機能するジストロフィンタンパク質がある程度回復し、DVD関連酵素と筋力も改善された.
    • CRISPR/Cas9によるゲノム編集はDMD療法として有望である.
  4. [論文] In vivo ゲノム編集によってDVDモデルマウスの筋肉および筋幹細胞(Pax陽性サテライト細胞)におけるジストロフィン読み枠回復:Amy J. Wagers (Harvard U. & Harvard Stem Cell Institute)
    • 変異したDmd エクソン23を標的とするgRNAsとCas9をAAV9にのせて、mdx マウスの筋肉または腹腔に注入した.1回の注入の結果、新生仔と成体ともに、筋線維、心筋細胞および筋幹細胞において、変異エクソン23が除去されてジストロフィン遺伝子の読み枠が回復した.
    • このAAV-Dmd CRISPR処方は、dmx マウスの筋組織において、筋機能を一部ではあるがDVDの症状を改善する程度まで回復、正常な筋形成前駆細胞のプールを生成した.
    • エクソン除去を、Creによる組換えによってdTomatoを発現するマウスAi9のレポーターアレルを利用して観察;SpCas9を使用した初代サテライト細胞での予備実験;モデルマウスには、SpCas9に替えてSaCas9を使用.