(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20150213)
Jin-Soo Kim等、韓国ゲノム工学センター、ソウル大学ならびにToolGen社の研究グループは、2月9日のNature Methodsオンライン版で、オフターゲット効果の新たな評価法"Digenome-seq”の論文を発表した。論文では、「オフターゲット効果は一筋縄ではいかない」という趣旨のNature Biotechnology News & Viewsで取り上げられた3種類の評価法それぞれの問題点も指摘されている。
- Digenome-seqは、Cas9によってin vitroで分解した全ゲノム(whole genome)をディープシーケンシングし、標的サイトに対する膨大な断片配列の5’末端の並び方から、オフターゲット効果を判定する手法である。オフターゲット効果が低いほど、+鎖と-鎖の5’末端が標的サイトにきれいに揃うことになる。この揃い方をゲノムブラウザー上ならびに数値化して評価する。
- Digenome-seq法によって、半数体ゲノムを有するHAP1細胞においてHBB遺伝子とVEGFA遺伝子を標的とした実験において、0.1%以下の頻度で起きる挿入欠失に因るオフターゲット効果を検出できることを示した。また、sgRNAの5’末端にグアニンを2つ付加することで、ガイドRNAの特異性が660倍になることを、Digenome-seq法に拠って、HAP1細胞ならびにヒト白血病K562細胞において確認した。
- Digenome-seq法は、再現性高く、高感度で、バイアスが無く、オフターゲット効果のプロファイルをゲノムワイドで把握できる手法である。
コメント