(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/04/29)
- Corresponding author: E. Premkumar Reddy (Icahn School of Medicine at Mount Sinai)(2m39sのビデオへ)
- 30年余りの挑戦を経ながらRAS 変異遺伝子を標的とする阻害剤は未だ実現していない‘undruggable’がん遺伝子の代表であり、米国立がん研究所は2014年に年間予算1千万ドル規模のRas Initiativeを開始した。
- Icahn School of Medicine、The Scripps Cancer Research Institute、Albert Einstein College of Medicineならびにthe New York Structural Biology Centerの研究チームは今回、RAS表面に阻害剤結合に適したポケットが存在しないことがRASを‘undruggable’にする大きな要因であったところ、RASに結合し下流へのシグナル伝達を担うエフェクター因子のRAS結合ドメイン(RBD)に結合する低分子が、結果的にRASを‘druggable’にすることを見出した。
- 具体的には、骨髄異形成症候群(MDS)を対象とした第Ⅲ相治験が進んでいるリゴサチブ(rigosertib/ON 0190.Na)がRASミメティックとしてRAFキナーゼのRBDに結合し、RASからRAFを介したMEK-ERKへのシグナル伝達(挿入図参照)を阻害し、ひいては、がん細胞の増殖を阻害する。
- リゴサチブはRAF以外のエフェクター、Ral-GDSとPI3Ks、のRBDsにもRASミメティックとして結合した。
- マウスin vivo 実験において、リゴサチブは、H-RAS-G12Vなどの発がん遺伝子による形質転換を抑止し、ヌードマウスに移植したHCT116ヒト結腸がん細胞とA549ヒト肺がん細胞の増殖を抑止した。
- リゴサチブはRASRASから下流へのシグナル伝達を広範囲に阻害し、RAS遺伝子変異に因るがんに対する有望な抗がん剤候補である。
- リゴサチブとRBDの相互作用の構造基盤はNMR法によって解析した。News release→Mount Sinai Hospital. “Researchers Identify New Mechanism to Target ‘Undruggable’ Cancer Gene.” 2016 Apr 20.Ras Initiative→National Cancer Institute. “The RAS Initiative”‘Undruggable’ Ras関連レビュー→Adrienne D. Cox et al. “Drugging the undruggable RAS: Mission Possible?” Nat. Rev. Drug. Discov. 2014 Nov;13(11):828-51. Published online 2014 Oct 17.‘Undruggable’ Ras関連展望→Andrew G. Stephen et al. “Dragging Ras Back in the Ring.” Cancer Cell. 2014 Mar 17;25(3):272-81.Rasの構造→148: Rasタンパク質(Ras Protein)

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