出典
先行研究
論文1
  • CRISPR/Cas9により時計遺伝子BMAL1をノックアウトした体外受精卵由来のサルについて、行動観察、感覚テスト、血液トランスクリプトーム解析などを行い、概日リズム睡眠障害の症状 (睡眠時間の短縮、夜間行動の亢進、血中ホルモンの概日周期不全、血中コルチゾールレベル上昇を伴う不安と抑うつ状態、統合失調症のような行動)を示すことを確認し、BMAL1ノックアウト・サルがヒトの概日リズム睡眠障害モデルとして有用であるとした。
論文2
  • BMAL1ノックアウト・サルの若年個体の線維芽細胞から体細胞核移植 (SCNT) を介してクローンサル5匹を作出した。325個のSCNT胚を65頭の代理母ザルに移植し、モザイク現象を伴わず、BMAL1両アレル変異を帯び、核遺伝子が線維芽細胞由来サルと同一なサル5頭を得た (末梢血のmRNA解析から野生型BMAL1の転写物が存在しないことも確認)。
  • Zhong ZhongとHua Huaを誕生させた先行研究では、中絶したサル胎仔由来の線維芽細胞からクローンを生成したが、今回は、CRISPR/Cas9によるゲノム編集を経て、最も重篤な疾患表現型を示した1個体に由来する線維芽細胞からのクローン生成を実現した。この手法によって、神経変性、免疫不全、代謝異常、癌といったヒト疾患のより精密な動物モデル開発が可能である。
参考
  • 論文が刊行されたジャーナルは、中国初の英文学術雑誌として2013年から中国科学杂志社が発行し始めた'National Science Review'。