出典
- NEWS "Gene-edited Disease Monkeys Cloned in China" Institute of Neuroscience (Shanghai). 2019-01-23.
- 論文1 "BMAL1 knockout macaque monkeys display reduced sleep and psychiatric disorders" Qui P [..] Sun Q, Chan HC. Natl Sci Rev. 2019-01-24.
- 論文2 "Cloning of a Gene-edited macaque monkey by somatic cell nuclear transfer" Liu Z [..] Chan HC, Sun Q. Natl Sci Rev. 2019-01-24.
先行研究
- 上海の神経科学研究所Qiang Sunらの研究グループは2018年に、マカクザル (カニクイザル; cynomolgus monkey)の体細胞核移植によるクローニングを実現し、また、CRISPR/Cas9により蛍光タンパク質をノックインしたマカクザル (以下、サル)を作出していた。
- 関連crisp_bio記事:2018-01-25 クローン羊(Dolly)から20年余りを経て、クローンサル(Zhong ZhongとHua Hua)誕生
論文1
- CRISPR/Cas9により時計遺伝子BMAL1をノックアウトした体外受精卵由来のサルについて、行動観察、感覚テスト、血液トランスクリプトーム解析などを行い、概日リズム睡眠障害の症状 (睡眠時間の短縮、夜間行動の亢進、血中ホルモンの概日周期不全、血中コルチゾールレベル上昇を伴う不安と抑うつ状態、統合失調症のような行動)を示すことを確認し、BMAL1ノックアウト・サルがヒトの概日リズム睡眠障害モデルとして有用であるとした。
論文2
- BMAL1ノックアウト・サルの若年個体の線維芽細胞から体細胞核移植 (SCNT) を介してクローンサル5匹を作出した。325個のSCNT胚を65頭の代理母ザルに移植し、モザイク現象を伴わず、BMAL1両アレル変異を帯び、核遺伝子が線維芽細胞由来サルと同一なサル5頭を得た (末梢血のmRNA解析から野生型BMAL1の転写物が存在しないことも確認)。
- Zhong ZhongとHua Huaを誕生させた先行研究では、中絶したサル胎仔由来の線維芽細胞からクローンを生成したが、今回は、CRISPR/Cas9によるゲノム編集を経て、最も重篤な疾患表現型を示した1個体に由来する線維芽細胞からのクローン生成を実現した。この手法によって、神経変性、免疫不全、代謝異常、癌といったヒト疾患のより精密な動物モデル開発が可能である。
参考
- 論文が刊行されたジャーナルは、中国初の英文学術雑誌として2013年から中国科学杂志社が発行し始めた'National Science Review'。
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