crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Humanized UGT2 and CYP3A transchromosomic rats for improved prediction of human drug metabolism" Kazuki Y [..] Oshimura M. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 Feb 4

概要
  • 鳥取大学 (香月康宏, 押村光雄)を中心とする研究グループは先行研究で、人工染色体技術とゲノム編集技術を組み合わせてヒト薬物代謝モデルマウスを確立していたが (crisp_bio関連記事*参照)、今回、ヒト・モデルにより適したラットのヒト薬物代謝モデル系統を確立した。このラットモデルは、ヒトの薬物代謝遺伝子クラスタ(サイズ~1.5 MbのUGT2遺伝子クラスタ;サイズ~700-kbのCYP3A遺伝子クラスタ)を帯び、それらのラット・オーソログ遺伝子を欠損している完全ヒト化ラットである。
  • (*) CRISPRメモ_2018/03/11 [第1項] 人工マウス染色体(MAC)ベクターにCRISPR/Cas9による薬剤選択マーカ・ノックアウトを組み合わせることで、5種類までの複数遺伝子を帯びたMACベクターの標的細胞への導入を実現;2017-11-15 染色体工学技術とCRISPR/Cas9ゲノム編集技術によるヒト薬物代謝モデルマウスの作出と精密化
人工染色体技術によるトランスクロモソミックス (Tc)ラットの作出
  • ヒト薬物代謝遺伝子クラスタを帯びたヒト染色体導入マウス細胞株から出発して、マイクロセル融合法 (microcellmediated chromosome transfer, MMCT)やCre/LoxP技術を介して、ラットES細胞を経て、UTG2-MAC (mouse artificial chromosome/マウス人工染色体)またはCYP3AーMACを帯びたトランスクロモソミックス (trans-chromosomic, Tc)ラットを作出した。
CRISPR/Cas9またはTALENによるホモログノックアウトラットの作出
  • UGT2については、sgRNAsペアを利用したCRISPR/Cas9システムにより、サイズ~762-kbのUtg2遺伝子クラスタKOラットを作出した。
  • CYP3Aについては、ラットのCyp3a遺伝子クラスタにおいて最も重要な遺伝子3a23/3a13a2をKOしたラットを作出した。
完全ヒト化の作出
  • TcラットとKOラットの交配によって作出した完全ヒト化ラットにおいて、ヒト細胞における遺伝子発現、薬物動態と代謝が再現されることを確認した。
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