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出典
  1. NEWS & VIEWS "An in-depth structural view of a GABAA brain receptor" Jansen M. Nature. 2019-01-02.
  2. 論文 "Cryo-EM structure of the human α1β3γ2 GABAA receptor in a lipid bilayer" Laverty D [..] Miller KW, Aricescu AR. Nature. 2019-01-02EMD-4411/PDB-6I53 Cryo-EM structure of the human synaptic α1β3γ2 GABAAR in complex with Megabody38 in a lipid nanodisc (3.2 Å 分解能)
  3. 論文 "GABAA  receptor signalling mechanisms revealed by structural pharmacology" Masiulis S [..] Miller KW, Aricescu AR. Nature. 2019-01-02
  4. RESEARCH HIGHLIGHT "GABA(A) receptor structures solved" Cully M. Nat Rev Drug Discov. 2019-01-10 (論文3をハイライト)
背景
  • GABAA  (γ-アミノ酪酸タイプA)受容体は、数多くの低分子薬剤の標的である、その標的は不明なまま開発されてきた。
  • GABAA受容体 (GABAAR)は、律動性 (phasic)および持続性 (tonic) ニューロン抑制を調節する。ベンゾジアゼピン系薬剤を含むGABAARを標的とするよく知られた薬剤は、鎮静、抗不安、催眠および鎮痙作用を及ぼすアロステリック調節分子であるが、その作用機序は不明である。先行研究で、古典的ベンゾジアゼピンがGABAARの特定のサブユニットを標的とすることが明らかにされたがその選択性が由来する分子機序は判然としなかった。
概要
  • 今回の2論文は、α1β3γ2 GABAARの全長を対象として、脂質二重膜とスキャフォールドタンパク質からなるナノディスクに再構成し、α1サブユニットに特異的なナノボディーをHelicobacter pylori由来の細胞外接着ドメインで拡張したmegabody (Mb38)を補助として、クライオ電顕法のサンプルとした (以下、Masiulisらの論文3RESEARCH HIGHLIHGTをもとに記述)。
  • Masiulisらは、クライオ電顕単粒子再構成法により、GABAARと5種類の薬剤と一部内在リガンドGABAも含む複合体の構造を解き、今後のより精密で安全なGABAAR調節薬開発の構造基盤を築き、また、クライオ電顕法が創薬の技術基盤(*)であることを改めて示した (* crisp_bio記事 2017-04-20 クライオ電顕、分子量100 kDaと分解能2 Åの壁を超えて、創薬支援に向かう) 
構造解析
  • GABAARとチャネルブロッカーであるピクロトキシン (picrotoxin, PTX) との複合体をはじめとして、PTXならびに内在リガンドGABAとの複合体、アンタゴニストであるビククリン (bicuculline, BCC)との複合体、古典的ベンゾジアゼピン系薬のアルプラゾラム (alprazolam) またはベンゾジアゼピン系のジアゼパムとGABAを含む複合体、の構造を解いた (下図はPDBj万見から引用したGABAARとPTXの複合体構造:PDB ID 6HUG)。
2019-02-11 15.37.17 2019-02-11 15.39.23
  • EMD-0275/PDB-6HUG CryoEM structure of human full-length α1β3γ2L GABAAR in complex with picrotoxin and megabody Mb38 (3.1Å 分解能)
  • EMD-0279/PDB-6HUJ CryoEM structure of human full-length heteromeric α1β3γ2L GABAAR in complex with picrotoxin, GABA and megabody Mb38 (3.04Å 分解能)
  • EMD-0280/PDB-6HUK CryoEM structure of human full-length α1β3γ2L GABAAR in complex with bicuculline and megabody Mb38 (3.69Å 分解能)
  • EMD-0282/PDB-6HUO CryoEM structure of human full-length heteromeric α1β3γ2L GABAAR in complex with alprazolam (Xanax), GABA and megabody Mb38 (3.26Å 分解能)
  • EMD-0283/PDB-6HUP CryoEM structure of human full-length α1β3γ2L GABAAR in complex with diazepam (Valium), GABA and megabody Mb38 (3.58Å 分解能)
ピクロトキシン (PTX)の作用機序
  • PTXは開口状態のチャネル・ポアに結合した後に、ポアを閉口状態へと誘導し、GABAはこの安定なコンフォメーションのGABAARに低い親和性で結合することになる。この結果、PTXは内在リガンドのPTXが結合するオルロステリック部位のポケットに結合しないが、GABAの競合的アンタゴニストとして作用することになる。こうして、PTXがチャネルブロッカーであるとともにアロステリックに作用するアンタゴニストである構造基盤が明らかになった。
ビククリン (BCC)の作用機序
  • GABAのGABAARへの結合によってGABAAR細胞外ドメインが回転するが、前項のPTX存在下では、このコンフォメーション変化が抑制される。ビククリン (BCC)はGABAが結合するオルソステリック部位に結合するが、GABAと異なり、細胞外ドメインの回転を阻害しポアを閉口状態に留める。
  • アゴニストが結合していないコンフォメーションとGABAが結合したコンフォメーションの比較から、神経伝達物質のβ3+/α1-への結合が細胞外ドメインの回転を誘導する分子機序モデルも提案された。
アルプラゾラムとジアゼパムの作用機序
  • これらの古典的ベンゾジアゼピン系薬は、αサブユニットとγサブユニットの間に位置するアロステリック部位に結合し、両者の界面を安定にする。また、α1, α2, α3またはα5サブユニットを含むGABAARを特異的に調節する。
  • ただし、アルプラゾラムと異なりジアゼパムには、膜貫通領域内のサブユニット間の界面に第2の結合部位が存在し、このため、麻酔作用を及ぼすことが示唆された。
関連レビューと記事
  1. [REVIEW] "GPCR drug discovery: integrating solution NMR data with crystal and cryo-EM structures" Shimada I, Ueda T, Kofuku Y, Eddy MT, Wüthrich K. Nat Rev Drug Discov. 2018-11-09.
  2. 2017-05-08  [レビュー] 代謝型GABAB受容体と代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体の構成と機
  3. 2017-05-01 リガンド指向性化学に基づいてGABAA受容体のアロステリック制御因子を発見
  4. 2017-04-05 単一シナプス小胞イメージング技術に拠ってグルタミン酸小胞とGABA小胞の異なる輸送機構を詳らかに
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