(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/05/26)
- [論文] ゲノム編集によるHIV-1 DNAの除去 - 概念実証in vivo 実験:Kamel Khalili、Jennifer Gordon & Wenhui Hu (Temple University)
- CRISPR/Cas9技術によって、ヒト細胞株において(in vitro)潜在感染しているHIV-1 DNAを宿主ゲノムから切除すること、ならびに、患者由来のCD4陽性T細胞において(ex vivo)InDel変異導入を介してHIV-1複製を抑制することが、実現されている。
- 今回、トランスジェニック・マウスとラットにおいて、Staphylococcus aureus 由来の小型のCas9 (saCas9)と、5’-LTRとGag 遺伝子間のウイルスDNAを標的とする多重gRNAsを利用して、臨床上重要なセグメントを除去することを試みた。
- saCas9とgRNAsを発現するアデノウイルス随伴ウイルス9、rAAV:saCas9/gRNA、をマウスに尾静脈注射したところ、脾臓、肝臓、肺、腎臓および循環リンパ球において、宿主ゲノムに組み込まれていたHIV-1 DNAが切断され、LTRとGag 遺伝子の間の978 bpが除去された。
- rAAV:saCas9/gRNAをラットに後眼窩接種したところ、ウイルスDNAにおける標的セグメントが除去され、循環血液中のリンパ球におけるウイルスゲノム発現が顕著に減少した。
- [関連論文] ヒトT細胞からHIV-1ゲノムを除去:Rafal Kaminski;Wenhui Hu;Kamel Khalili (Temple U.)
- [論文] mCRISTAR法 - 多重(multiplexed)CRISPR/Cas9ならびにTARを介して、酵母において天然物生合成遺伝子クラスターのプロモーターを合成する:Sean F. Brady (Rockefeller University)
- mCRISTAR(multiplexed-CRISPR-TAR)は、改変したCRISPR/Cas9技術とtransformation-associated recombination(TAR)を組み合わせた手法。酵母のⅡ型ポリケチド合成酵素遺伝子クラスターとインドロトリプトリン(indolotryptoline)遺伝子クラスターで実証実験。
- バクテリアゲノムの生合成遺伝子クラスターは人工的環境で発現しないことが多いことから、ゲノム解析から推定される天然物生合成遺伝子クラスターを発酵技術でスクリーニングすることには限界がある。
- 遺伝子クラスターのプロモーターを、恒常的あるいは活性を誘導可能で特性が把握されているプロモーターに置換することで、遺伝子クラスターの転写を系統的に活性化する試みが進んでいる。
- 栄養要求性マーカーを利用して組み換え体を選択していくことでプロモーターを多重に挿入していく手法は、酵母に内在する組み換えこ効率が低くまたと拡張性に限界がある一方で、dsDNA切断の導入によって酵母の組み換え効率が4,000倍まで上昇することが知られている。
- 今回、CRIRPR/Cas9の利用にあたって、gRNAsのクローニングの繰り返しに変えて、合成したCRISPRアレイの直接クローニングからCRISPRプラスミドを構築し、さらに、CRISPRアレイ法の効率を1種類の栄養要求性マーカーを利用することで向上させた。
- 単1の栄養要求性選択マーカで4種類のプロモーター・カセットを同時に導入
- 栄養要求性選択マーカを使用することなく2種類のプロモーターカセットを導入
- 4種類の栄養選択性マーカを利用して、16プロモーターカセット/32プロモーターまで挿入可能。mCRISTARのラウンドを繰り返せば、さらに多くのプロモータ活性を導入可能。
- MCRISTAR - A web app for refactoring gene clusters (Webサイト):http://www.mcristar.net/
- [Technical Preview] CRISPRによるDNA二本鎖切断を伴わない1塩基編集:Brian S. Plosky (Deputy Editor)
- David R. Liu (Harvard University)等が開発したDNA二本鎖切断を必要とせず、相同組換え修復機構と修復用園プレートDNAも不要な1塩基編集法(以下、BE(base editing))を紹介(2016年4月21日CRISPR関連文献メモ「2.論文」参照)。
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