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2020-06-19 2020年6月に~1.2Å分解能が達成された [crisp_bio記事はコチラ]

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/05/31)
[出典] Alan Merk et al. “Breaking Cryo-EM Resolution Barriers to Facilitate Drug Discovery.” Cell. 2016 june 16;165. Published online 2016 May 26.
  • Corresponding author: Sriram Subramaniam (National Cancer Institute (NCI))
  • 米国NCIとNational Center for Advancing Translational Sciences (NCATS) の研究チームは、がんの創薬ターゲットとされている3種類の代謝酵素を対象として、クライオ電顕法によって、100 kDaより小型のタンパク質の構造再構成と、2 Åを超える分解能での構造再構成が可能なことを示した。
  • これまでのクライオ電顕法による構造解析例(分子名 分子量/分解能):デングウイルス 11,200kDa/3.6Å;リボソーム 2,300kDa/2.9Å;p97 540kDa/2.3Å;βガラクトシダーゼ 465kDa/2.2Å。
  • 今回の成果
    1. 乳酸脱水素酵素B (LDH B)
      • 分子量 145kDa(〜36 kDaのサブユニットからなる四量体)/分解能 2.8 Å
      • LDH Bと阻害剤GSK2837808A (650 Dalton) の複合体;ただし、リガンドの電子密度については低分解能であり、これは、結晶化サンプルに比べて、溶液中でリガンドが多様なコンフォメーションを取ることによると思われ、したがって、X線結晶構造解析とクライオ電顕解析は相補的手法
    2. イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH1)R132C変異体
      • 分子量 93 kDa(〜47 kDaのサブユニットからなる二量体)
      • 単体の構造/分解能 3.8 Å;構造非対称という従来の報告と異なり2回対称
      • 阻害剤ML309との複合体構造 (分子量 650 kDa)/分解能 3.8 Å
      • 酵素の触媒サイトとML309の結合サイトを同定し、アロテリック作用で阻害するML309結合による酵素のコンフォメーション変化も推定
    3. グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)
      • 分子量 334 kDa(〜56 kDaのサブユニットからなる六量体)/分解能 1.8 Å
      • 開状態と閉状態で、ヌクレオチド結合ドメインをはじめとしてコンフォメーションが大きく変化する酵素であり、これまで達成された分解能は、X線結晶構造解析とクライオ電顕でそれぞれ〜2.7 Åと〜3.3 Å(開状態)
  • クライオ電顕の装置とソフトウエアの進歩によって、より小さなタンパク質、対称性が低いタンパク質およびまたは極めてフレキシブルなタンパク質の構造再構成が可能になってきているが、現時点でクライオ電顕の最高性能を引き出すには、タンパク質を覆う氷層が薄いサンプルの選択、電子線による変位が小さい像の選択、そして、ピクセルサイズが十分に小さく検出量子効率(DQE)が高い改良型XPセンサーを利用することが肝要
[構造情報]
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