(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/06/06)
  • Corresponding author: 大塚基之(東京大学)
  • 膵管がん(Pdac)は、早期発見が極めて困難であるため、発見時には治療困難な状態にまで進行していることが極めて多い。そこで、早期発見に有望なバイオマーカーが同定され、測定法も提案されてきたが、臨床診断に展開するには、再現性の向上と簡便化が必要な状況であった。
  • 研究チームは今回、新たにTandem Repeat Amplication by nuclease Protection (TRAP)法を開発し、Droplet Digital PCR (ddPCR™) と組み合わせて、Pdacにおいて異常に高発現し特異性も高い反復配列RNA、ヒト・サテライトII (HSATII) RNAs、を高感度(1 pgのHSATII を検出可能)で定量可能とした。
  • TRAP-ddPCR法を、健常者、Pdacの前癌症状とされている膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm(IPMN))患者、およびPdac患者の小規模コホートで検証した。
    • TRAP-ddPCR法で得られた血中HSATII RNA のコピー数が、Pdac患者は健常者より有意に高く、また、IPMN患者も健常者より比較的高いという結果を得た。さらに、Pdacの外科切除によって血中 HSATII RNAが有意に低減することも見出した(2症例)。
  • TRAP-ddPCR法は、従来のバイオマーカー検出法より高感度かつ簡便であり、Pdacの臨床診断法として有望である。また、他の反復RNAの定量にも展開可能である。