(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/06/08)
  • Corresponding author: 中迫雅由(慶應義塾大学)
  • 低温X線結晶構造解析などから、タンパク質を水和する水分子がタンパク質が機能するために必要とする実験結果が得られていた。今回、ドメイン間の水分子がドメインの運動に重要な役割を果たしていることが明らかなマルチドメイン・タンパク質をモデルとしてその機構解明を試みた。
  • 6つのサブユニットA〜Fで構成されるグルタミン酸デヒドロゲナーゼを対象として、分子動力学シミュレーション、原子間力顕微鏡(AFM)によるコンフォメーション観察、および生化学的実験によって、水和構造の微視的変化とドメイン運動との相関を解析し、水和によって、活性クレフトの開閉につながるドメイン運動(挿入図Figure 1-a/Suppl. Figure S3)が調節されることを示した。
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    • クレフトの深部の局所的な水和構造の変化がドメインの運動に必要であり、その逆も同様である。
    • 水素結合ネットワークの再編成によって、サイズ〜7Åの疎水性ポケット(挿入図Figure 5: HS1)の‘wetting’/‘drying’、ならびに、長さ10Å/幅6Åの親水性クレバス(挿入図Figure 6: HS2)における水の数分子の‘吸着’/‘分離’が、クレフトの開閉をもたらすドメイン運動のスイッチとして機能する。