(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/03/19)CRISPR関連文献メモ_2016/03/19
[出典] Nelles DA [..] Yeo GW. “Programmable RNA Tracking in Live Cells with CRISPR/Cas9” Cell. 2016 Apr 7;165:1-9. Published online 2016 Mar 17.


  
UC BerkeleyのM. R. O’ConnellとJ. A. Doudna等は 2014年に、PAM配列を含む標的RNAに結合可能なオリゴヌクレオチドであるPAMmerを利用して、CRISRP/Cas9システムによって二本鎖DNAだけでなくmRNAも切断可能なことを実証した[2017-04-22 CRISPR-Cas9に、DNAに留まらず、RNAも切断させる]。RNAを標的とするCas9-sgRNA編集を実現するために、DNAを標的とするCas9では標的DNAがPAMに隣接していることが条件であることに倣って、PAMに相当するPAMmerを外部から供給する手法を開発した. また、"Cas9に替えてヌクレアーゼ活性を欠損させたdCas9を利用することで細胞内でRNAを追跡することが可能になる"としていた.
  • UCSDのG. W. Yeoらは今回、J. A. Doudnaのチームとともに、RNAを標的とするdCas9である "RCas9"を構築し、生細胞内でのRNA追跡を実現した.
  • RCas9は、核局在シグナル(NLS)を付したdCas9と蛍光タンパク質の融合タンパク質、U6ポリメラーゼⅢプロモーターで発現するsgRNA、PAMmerで構成される.
  • はじめに、ACTB 遺伝子由来mRNAを標的とする予備実験を行った.RCas9の構成因子の蛍光タンパク質が示したACTB mRNAの分布はFISHから得られた分布と整合し、RCas9は核内で標的mRNAと結合し、mRNAや発現タンパク質の量に影響を与えることなく、sgRNAの存在下で核から細胞質へ移行することを確認.
  • 亜ヒ酸ナトリウムで刺激した細胞において、RCas9によって、ACTBTFRC およびCCNA2 のmRNAとストレス顆粒との相関を観察.
  • さらに、ACTB mRNAがストレス顆粒へ移行していく動態を生細胞内で観察.
  • Cas9システムによるゲノム解析ツールボックスに加えて、RCas9によるトランスクリプトーム解析のためのツールボックスが展開していく.
  • [RCas9 参考文献] Nelles DA, Fang MY, Aigner S & Yeo GW. “Applications of Cas9 as an RNA-programmed RNA-binding protein.” Bioessays. 2015 Jul;37(7):732-9. Published online 2015 Apr 16. (NCBI PMC4672944