(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/01/18)
  1. [レビュー] オンターゲットを最大限にしオフターゲットを最小限にする標的サイトの選択法:Gang Bao (Rice U.)
    • ZFN、TALENならびにCRISPR/Casそれぞれについて、高精度のゲノム編集の設計と評価を支援するドライ(Webサイトで利用可能なバイオインフォマティクスツール)とウエット(実験手法)をレビューし、ツールと手法のさらなる改良が必要と結論.
  2. [論文] ArrayEdit: CRISPR/Cas9でゲノム編集したヒトESCsのハイコンテント・アナリシス(HCA)プラットフォーム:Krishanu Saha (U. Wisonsin-Madison)
    • ArrayEditは、ワンポット転写と、マイクロコンタクトプリント法ならびにHCAとを、融合させたプラットフォーム.
    • LAMA5 をモデルとして、ArrayEditの性能を検証:ゲノム編集したhESCを2週間以内に分離し、その82%が設計通りの変異を有し、オフターゲットは検出されず.
  3. [論文] エクソーム・シーケンシングとCRISPR/Casゲノム編集によって、四肢に欠陥をもたらす常染色体遺伝疾患の責任遺伝子を同定:Stefan Mundlos (MPI); Guntram Borck (University of Ulm)
    • CRISPR/Cas9技術によって、裂手/裂足症(Split Hand/Split Foot Malformation: SHFM)の中でも特定の表現型の責任遺伝子候補Zak を標的とするトランスジェニックマウスを作出し、Zak が責任遺伝子であることを確定するまで、10週間未満で完了(ZAKはMAPKKKファミリーのタンパク質キナーゼ).
  4. [論文] CRISPR/Cas9技術は、神経幹細胞における各遺伝子の機能の特定に有用である:Wieland B. HuttnerMihail Sarov (MPI)
    • Cas9とgRNAをコードするプラスミドを子宮内エレクトロポレーションによって、Tis21 ::GFPノックインマウスの胚性新皮質に送達すると、その2日後に、神経発生をもたらす神経幹細胞からGFPの発現がほぼ完全に(≈90%)消滅.
    • Cas9/gRNAの複合体を子宮内エレクトロポレーションすると、24時間後にはGFPの発現がほぼ消滅.
    • 器官型培養切片にCas9/gRNA複合体をマイクロインジェクションすると、一細胞周期の間にGFP発現が消滅.
    • Cas9/gRNAプラスミドの子宮内エレクトロポレーションまたはCas9/gRNA複合体のマイクロインジェクションによって、新皮質の発生に必須の遺伝子Eomes /Tbrの発現を抑止.
  5. [論文] トキソプラズマ原虫におけるカルシウム依存性プロテインキナーゼ(CDPKs)の網羅的解析:L. David Sibley (WUSTL)
      CRISPR/Cas9は、迅速な連続的遺伝子欠損実験に有用である.
    • トキソプラズマ原虫には、CDPKsをコードする遺伝子が14種類存在し、そのほとんどの機能が不明であった.今回、 CRISPR/Cas9とCre-loxP を組み合わせて、24種類の変異体を作出し、マウスへの感染とin vivo 成長への影響を見た.
    • その結果、CDPK1とCDPK7がトキソプラズマ原虫に必須であることを再確認、また、CDPK6欠損によってトキソプラズマ原虫のシスト形成などが減弱することを見出したが、その他のCDPKsについては欠損の影響が見られなかった.
  6. [論文] タイプⅢ CRISPR/Cas免疫のスペーサー配列依存性:Luciano A. Marraffini (Rockefeller U.)
    • ブドウ球菌属Staphylococcus epidermidis のCRISPRシステムが、接合伝達性プラスミドpG0400とバクテリオファージCNPXに対して同程度の免疫を示すことを見出した.一方で、プラスミドに対する免疫は標的配列のミスマッチに左右されたが、ファージに対する免疫は左右されなかった.
    • ミスマッチに対するCRISPRシステムの感受性は、各スペーサー/標的DNAの特定の配列に左右される事を見出した.
  7. [プログレス] CRISPR/Casシステムにおける"adaptation"の作用機序:Rotem Sorek (Weizmann Institute of Science)
    • 微生物の獲得免疫CRISPR/Casシステムは3つのステージ、adaptation、expression and maturation、そして、interference、で成り立っている.この3つのステージの中でこれまで解明が遅れていた"adaptation"の作用機序に関する最新の研究成果を集約:CRISPR/Casが外来DNAを認識する機構;外来DNAの断片をスペーサーとしてCIRSPRローカスに取り込み免疫記憶とする機構;CRISPR/Casの各部品の役割;進化モデル
    • CRISPR/Casシステムはタイプ/サブタイプに分類されているが、データが蓄積されてきたE. coli のtype I-EシステムとStreptococcus spp.のtype II-Aシステムを対象にしたプログレス・レポート.