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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Lineage tracing using a Cas9-deaminase barcoding system targeting endogenous L1 elements" Hwang B, Lee W, Yum SY, Jeon Y, Cho N, Jang G, Bang D. Nat Commun. 2019-03-15 (bioRxiv. 2018-07-12)  
  • CRISPR-Casゲノム編集技術の出現によって細胞系譜再構成法の研究開発が一段と進展してきたが*、再構成の手がかりとなる細胞分裂の過程を記録する細胞バーコーディングは、主として、細胞外から導入するDNA配列に依存していた。
  • 延世大学校とソウル大学校の研究グループは、ヒト細胞に内在する多重なレトロウイルス遺伝子の編集が発生過程に影響を及ぼさないことに注目し、外来DNAに替えて、ヒト細胞に内在する長鎖散在反復配列 (LINE)の一種であるL1に、細胞分裂の各段階の目印となる変異をバーコードとして蓄積していくことを発想した。
  • 研究グループはまた、CRISPR/Cas9に誘導される二本鎖DNA切断 (DSBs)はバーコードを擾乱すると見て、nCas9にシチジンデアミナーゼを融合したベースエディターBE3に依って、L1に塩基置換を誘導し、細胞分裂に応じてL1に順次蓄積されていく一連の塩基置換をバーコードとする選択をした。BE3は、PAMから4-8ヌクレオチドの領域に位置する塩基対C:GをT:Aへと置換する (研究グループは、論文途中からBE3に替えて'targeted deaminase system'と呼称)。
  • [crisp_bio注] この手法の概要と実験例を、それぞれ、原論文Fig. 1とFig. 2から引用し、下図の左と右に掲載した。下図右のFig. 2 - cにあるように、タイムラプス・イメージングにより、一細胞レベルで、再構成した細胞系譜の実験検証も実現した。
Fig. 1 Fig. 2
  • (*) 細胞系譜関連crisp_bio記事:2019-02-03「細胞系譜再構成の理論モデル:Cas9によるコーディングの効率化と再構成の最適化」
LINE-1関連crisp_bio記事
  • 2019-03-16「塩基編集 (BE)により、一細胞内のLINE-1 26,100コピーのほぼ半数の同時不活性化を実現」
  • 2017-12-09「LINE-1を調節する宿主遺伝子群をCRISPR/Cas9スクリーンで同定し、さらに、LINE-1のエピジェネティック・サイレンシングが宿主遺伝子の発現を調節することを見出した」
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