[出典] "Enhanced Cas12a editing in mammalian cells and zebrafish" Liu P [..] Lawson ND, Wolfe SA. Nucleic Acids
. 2019-03-20
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 University of Massachusetts Medical Schoolの研究グループは今回、Cas9と異なるPAMを認識し、crRNAにより (tracrRNA不要)ガイドされDNaseとRNase双方の活性を帯びているCas12a (Cpf1)の編集効率を向上させる手法を、LbCas12a、FnoCas12aならびにAsCas12aについて、HEK293T細胞株をはじめとするHeLa、K562およびJuratの各細胞株において検証  (注:全ての組み合わせについてではない):
  • 核局在化配列2種類をCas12aのC末端に結合 (原論文Figure 1引用下図左 B-D参照)
  • これまでのCas12a実験で利用されてきた成熟crRNAに替えて、crRNAの5'末端に内在CRISPRアレイに由来するダイレクト・リピート (DR)全長を結合したcrRNA前駆体を利用 (原論文Figure 2引用下図右の"DRf-crRNAの構成と2遺伝子座の編集結果"参照)
Cas12a-1 2019-03-22 10.30.26 Cas12a-2
  • DRf-crRNAにおいてDRのヘアピン構造 (ステム-ループ)のステム領域の1番目と3番目のA:UをG:Cに置換 (原論文Figure 3引用下図 Drf-GC@13-crRNA参照)。Cas12a-3
 ヒト細胞株での実験結果に基づいて、LbCas12aまたはFnoCas12aとDrf-GC@13-crRNによるゼブラフィッシュ1細胞期胚でのゲノム編集を試みた結果、RNPの形式で送達することでゲノム編集が実現し、ヌクレアーゼ濃度を高くすることで編集効率が向上し、また、先行研究で示されたようにRNPをマイクロインジェクションした後にヒートショック (28.5°C --> 34°C, 4時間)処理をすることで編集効率が向上することを見出した。細胞毒性はミニマルであった。

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