(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/07/09)
  1. [序] 腸内菌叢から見たヒトの健康と疾患
    • Christina Tobin Kåhrström, Nonia Pariente & Ursula Weiss (Senior Editors)
    • INSIGHT収録の展望1編とレビュー5編それぞれの主旨
  2. [展望] 微生物から見たヒト発生生物学
    • Mark R. Charbonneau, Laura V. Blanton, Daniel B. DiGiulio, David A. Relman, Carlito B. Lebrilla, David A. Mills & Jeffrey I. Gordon
    • ヒトは、微生物群集(microbiota)とその遺伝子群(microbiome)と共に生きるholobiontsであるとし、母乳のオリゴ糖分、腸内菌叢の機能成熟、そして出生後の成長の間の相関、加えて、母体の微生物環境と出産成績の相関を論じ、妊娠前から出産後まで母体と胎児の微生物叢を追跡する’human microbial observervatories’の設立を提案。
  3. [レビュー] 食事とmicrobiotaの相互作用がヒトの代謝を調節する
    • Justin L. Sonnenburg & Fredrik Bäckhed
    • Microbiotaがヒトの代謝に影響を与えることが明らかになってきたが、その分子機構は極めて複雑である。その中で、肥満が腸内菌叢の多様性の低下と相関することや、全身性炎症と微生物代謝産物(胆汁酸や短鎖脂肪酸)が相関することが示唆されている。そこで、microbiotaの組成と機能の調節による個別化栄養摂取(personalized nutrition)といった療法の研究開発に関心が集まる。
    • 食事と腸内菌叢による短鎖脂肪酸の産生;腸内菌叢から宿主へのシグナル伝達;腸内菌叢の調節によるヒトの健康増進
  4. [レビュー] Microbiomeと自然免疫
    • Christoph A. Thaiss, Niv Zmora, Maayan Levy & Eran Elinav
    • 生理反応;腸上皮細胞による宿主-microbiota界面の編成;骨髄系細胞によるmicrobiotaシグナルの統合;自然リンパ球(innate lymphoid cell)によるmicrobiotaシグナルの統合;自然免疫システムがmicro biomeに及ぼす影響
    • Microbiota-自然免疫システムクロストークの機構]:転写の再プログラミング;エピゲノム・プログラミング;階層的なフィートバックループ
    • 疾患へのインパクト: 感染症;自己免疫と自己炎症;メタボリックシンドローム;がん;
  5. [レビュー] Microbiotaと適応免疫
  6. [レビュー] Microbiotaと腸内病原細菌との相互作用
    • Andreas J. Bäumler & Vanessa Sperandio
    • Microbiotaの変化は、病原細菌の感染に抵抗性をもたらすこともあれば感染を促進することもある。抗生物質は腸内の栄養状態を大きく改変し、病原細菌の増殖をもたらす可能性を秘めている。病原細菌は腸内環境を改変して独特の呼吸と金属獲得の独システムを利用して増殖する。
    • Microbiotaに働きかけることで、病原細菌の増殖を抑制可能である。
  7. [レビュー] Microbiomeと疾患を対応づけるMicrobiome-wide相関解析研究
    • Jack A. Gilbert, Robert A. Quinn, Justine Debelius, Zhenjiang Z. Xu, James Morton, Neha Garg, Janet K. Jansson, Pieter C. Dorrestein & Rob Knight
    • ゲノムワイド関連解析(Genome-wide association study: GWAS)は、SNPの頻度と疾患や量的形質との関連を解析する手法であり、疾患の原因遺伝子を絞り込む手掛かりを与える。GWASに倣って、microbiomeと特定の表現形質の関連を明らかにするmicrobe-wide association study (MWAS)を提唱。
  • 今回特集INSIGHTのスポンサーはヤクルト