1. CRISPR-Cas9とギブソン・アセンブリを組み合わせて制限酵素不要の精密DNAクローニング法を開発し、非標準PAMを認識するABE作出で実証
[出典] "Construction of non-canonical PAM-targeting adenosine base editors by restriction enzyme-free DNA cloning using CRISPR-Cas9" Jeong YK, Yu J, Bae S. Sci Rep. 2019-03-20.
- 漢陽大学校の研究チームは、制限酵素に替えてCRISPR-Cas9でプラスミドバックボーン2箇所を切断し、続いて、ギブソン・アッセンブリーで必要なDNA断片を挿入する手法を開発し、はじめに、薬剤耐性マーカの置換で検証 (原論文Figure 1引用下図左参照;下図右はNG-ABEの項の参考図)。
2. 高効率の一塩基置換を、RNPでのCas9-sgRNAの送達とssODNsの最適化により実現
[出典] "Highly efficient genome editing for single-base substitutions using optimized ssODNs with Cas9-RNPs" Okamoto S, Amaishi Y, Maki I, Enoki T, Mineno J. Sci Rep. 2019-03-18.
- 精密な遺伝子編集を実現するHDRの効率は極めて低い。HDRを介した長い配列のノックインは選択マーカを介した濃縮によって目的とするノックインが生じた細胞の濃縮が可能であるが、この濃縮は1塩基置換の場合には展開できない。
- HDRの効率を向上する手法がこれまで多々試みられてきたが、タカラバイオ研究チームは今回、標的サイト切断の繰り返しをブロックする変異を導入する手法に注目した。
- INDELsのノックアウト効率とHDRを介した一塩基置換とを判別可能なレポータシステムを新たに開発し、ブロック変異の効用とssODNの相同アームの影響がHDRを介した一塩基置換の効率に与える影響を、HEK293T細胞とヒトiPS細胞で分析した。
- その結果、PAMへの変異導入とssODNの最適化、RNPによるCas9とsgRNAの送達、および、標的塩基の近位サイトを標的とするsgRNAを選択することで、一塩基編集効率を顕著に向上させることが可能なことを示した。
3. バイオ医薬品生産の宿主細胞として利用されているCHO細胞のアポトーシスを最適化CRISPRiで低減する
[出典] "Reduced Apoptosis in Chinese Hamster Ovary Cells via Optimized CRISPR Interference" Xiong K [..] Lewis NE, Kildegaard HF. Biotechnol Bioeng. 2019-03-18.
- 二成分の転写発現抑制因子 (KRAB-MeCP2)を組み込んだCRISPRi によりアポトーシス遺伝子 (Bak, BaxおよびCasp3)の発現を抑制することで、タンパク質生産時の細胞ストレスに起因するCHO細胞のアポトーシスを低減し、ミトコンドリア膜の完全性を改善し、カスパーゼ活性を抑制した。
4. [プロトコル] CRISPRa技術によるlncRNAの過剰発現
[出典] "Overexpressing Long Noncoding RNAs Using Gene-activating CRISPR" Rankin CR, Treger J, Faure-Kumar E, Benhammou J, Anisman-Posner D, Bollinger A E, Pothoulakis C, Padua DM. J Vis Exp. 2019-03-01.
- ほとんどの疾患で変異していることが明らかになってきたlncRNAの機能解析を実現する遺伝子発現活性化のプロトコル;Jurkat T細胞モデルにおいて、炎症性腸疾患と相関するlncRNAのInterferon Gamma Antisense 1 (IFNG-AS1)発現を上方制御
5. [レビュー] CRISPR/Cas9は、進化を続けるがん生物学と腫瘍学の生物学的ツールキットである
[出典] REVIEW "CRISPR/Cas9 – An evolving biological tool kit for cancer biology and oncology" Tian X, Gu T, PatelS, Bode AM, Lee MH, Dong Z. npj Precis Oncol. 2019-03-18.
- 基礎研究;[がん研究応用] がんモデル構築、多重遺伝子の相乗作用解析、CRISPR/Cas9による遺伝子機能スクリーン、がん治療標的の評価、遺伝子診断; [抗腫瘍臨床試験] 原レビューTable 3引用下図参照;

将来展望として、がん原性の融合遺伝子を、融合遺伝子の遺伝子座を標的とするsgRNAと融合遺伝子のbreakpointを標的とするsgRNAにより、がん細胞特異的にDSBを誘導し、アポトーシスを誘導する自殺遺伝子 (単純ヘルペスウイルス1型のチミジンキナーゼ: HSV1-tk)を挿入する手法 (Nat Biotechnol, 2017) を紹介し、また、個別化がん療法への展開を期待。
6. 多重sgRNAsによるCRISPR/Cas9遺伝子編集システムによる高脂質血症モデルウサギ作出
[出典] "Generation of hyperlipidemic rabbit models using multiple sgRNAs targeted CRISPR/Cas9 gene editing system" Yuan T, Zhong Y, Wang Y [..] Liang J, Fan J, Cheng Y. Lipids Health Dis. 2019-03-18.
- LDL受容体 (LDLR)とアポリポタンパク質apoEを標的とするsgRNAsにもとづいて、4匹のLDLR KOウサギと2匹のLDLR/apoEのダブルKOウサギを作出し、顕著な高脂質血症の特徴を示し、総コレステロール値が野生型の10倍に達することを確認
7. 先天性難聴の病因スプライシング変異のCRISPR/Cas9ゲノム編集
[出典] "CRISPR/Cas9-mediated genome editing of splicing mutation causing congenital hearing loss" Ryu N, Kim MA [..] Lee KY, Kim UK. Gene. 2019-03-18.
- Slc26a4遺伝子のエクソン7で発生するc.919-2Aに起因するスプライシング変異は、先天性難聴患者に高頻度で見られる変異の一つである。慶北大学校の研究グループは今回この変異を標的とする遺伝子治療の可能性を示した。
- SaCas9と組み合わせる一連のsgRNAsを設計し、マウス神経芽細胞腫由来Neuro2a細胞にてindels導入を効率14-25%で実現、Slc26a4遺伝子座内のc.919-2A変異の編集を14-25%の効率で実現、また、Neuro2a細胞とマウス胚性初代線維芽細胞において一対のsgRNAsを組み合わせることで遺伝子座の大規模断片の欠失を実現、さらに、SaCas9とsgRNAsおよびドナーテンプレートをrAAVで送達することで、マウス初代線維芽細胞にてc.919-2A領域へのex vivoでのサイレント変異導入を実現 (オフターゲット編集は非検出)


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