[出典] "Protein-slaying drugs could be the next blockbuster therapies" Scudellari M. Nature. 2019-03-20.
- PROTACsは、標的タンパク質にユビキチンリガーゼを近接させることで標的タンパク質をユビキチン化し、細胞に内在するユビキチンプロテアソーム系での分解へと誘導する分子であり、PROteolysis TArgeting Chimeraの略称にあたる (OpenWetWare Webサイトから引用した下図参照)。

2001年にUCLA, CALTECH, Yale University, Celgene Pharmaceuticalsの研究グループ (K. M. Sakamoto、K. B. Kim、A. Kumagai、F. Mercurio、C. M. CrewsならびにR. J. Deshaies)がPNAS誌に発表したProtac-1は、SCFユビキチンリガーゼのF-boxタンパク質β-TRCPに結合するリガンド (IκBαリン酸化ペプチド)と、標的タンパク質 (メチオニルアミノペプチダーゼ-2: MetAP-2)に結合する低分子ovalicin をリンカーで結合した分子であった。 - その後、数多くの創薬研究室でさまざまなE3リガーゼ (pVHL; MDM2; beta-TrCP; cereblon; c-IAP1)が試行され、Roche, Pfizer, Merck, Novartis、GlaxoSmithKlineといった製薬企業がPROTACs創薬に巨額の投資をするに至っている。
- PROTACsの特徴は、一つには、従来の低分子キナーゼ阻害剤や抗体医薬が結合するに必要な活性部位/アロステリック作用部位における結合ポケットを必要としないことから、アンドラッガブルとされてきたタンパク質も標的可能なことを期待できることにある。もう一つは、標的タンパク質のユビキチン化とともに標的タンパク質から遊離し、また、細胞内には大量のユビキチンが内在することから、PROTACは細胞内の標的タンパク質に次々に結合・ユビキチン化・分解することを期待できることにある。
- 2019年中には、C. M. Crewsが設立したArvinasが、臨床試験用の新医薬品として、転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象としたPROTAC (ARV-110)の第1相試験を始めようとしている。
- 標的はアンドロゲン受容体である。アンドロゲン受容体を標的とする去勢抵抗性前立腺がんに対してアビラテロンやエンザルタミドといった分子標的薬が存在するが、Arvinasは、安全性と認容性の確認とともに、阻害に変えて標的分解が、既存薬が効用を示さなかった患者や既存薬に対する耐性が生じた患者の奏功するかを見ようとしている。
- Arvinasの治験には、PROTACsのサイズが大きいことに対する懸念を払拭し (低分子医薬のサイズは通常500 Da未満であるのに対して、現行PROTACsは1,000 Daに達するものも存在)、なによりも、ヒト細胞において標的タンパク質を分解可能なことが実証されることが、期待される。
- PROTACs関連Research Highlight:"Degrading proteins in animals: “PROTAC”tion goes in vivo" Guo J, Liu J, Wei W. Cell Res. 2019 Mar;29(3):179-180.
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