(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/08/06)
  1. [論文] Target-AID: 二本鎖DNA(dsDNA)切断とドナーDNA(テンプレート)を必要としない点変異導入法
    • [出典] 西田敬二 (Keiji Nishida) et al. “Targeted nucleotide editing using hybrid prokaryotic and vertebrate adaptive immune systems.” Science. Published online 2016 August 4.
    • 研究チームは今回、ウミヤツメの活性化誘導シチジンデアミナーゼ(Activation-Induced (Cytidine) Deaminase、AID)オーソログであるPmCDA1と、失活したdCas9または一本鎖DNAを切断するnCas9(D10A)とを結合した複合体(Target-AID)を開発し、dsDNA切断の非相同末端結合(NHEJ)修復機構による不確定要素を除いた点変異導入を実現した。
      [注] AIDは、DNAのCをUに置換し、DNA複製時にUがTへと変換される。
      • 出芽酵母のCAN1 遺伝子を標的とするTarget-AIDによって変異頻度が1,000倍に達した。
      • Target-AIDによる置換変異は、PAM配列の上流(-18)を囲む3〜5塩基という狭い領域で生じた
      • 出芽酵母において、nCas9(D10A)を組み込んだTarget-AIDの効率は極めて高かったが、CHO細胞においてはindelを伴った。このindelは、Target-AIDにさらにウラシル-DNAグリコシラーゼ阻害剤(UGI)を結合することで抑制可能であった。
    • Cas9はバクテリアの獲得免疫応答から発見されたタンパク質であり、AIDは抗体の多様化に必須とされる酵素である。Tatget-AIDは、(論文タイトルにあるように)原核生物と真核生物の獲得免疫のハイブリッドシステムである。
    • シチジン脱アミノ酵素を利用したゲノム編集法論文
      • APOBEC1、APOBEC3F、APOBEC3G (2K3A) およびAIDの中で比較的安定した性能を示したAIDとZFの組み合わせによるゲノム編集:Luhan Yang et al. “Genome Editing With Targeted Deaminases.” bioRxiv. Posted 2016 July 28.
      • ヒトAID、ヒトAPOBEC3G、ラットAPOBEC1およびヤツメウナギCDA1の中で、ssDNAの脱アミノ化活性が最も高かったラットAPOBEC1とdCas9によるゲノム編集:CRISPR関連文献メモ_2016/04/21 “2.[論文] DNA二本鎖切断を介さずに、ゲノムDNA中の1塩基を編集:David R. Liu (Harvard University)”
  2. [特許] METHODS FOR PRODUCING GENETIC MODIFICATIONS IN A PLANT GENOME WITHOUT INCORPORATING A SELECTABLE TRANSGENE MARKER, AND COMPOSITIONS THEREOF
    • US 2016/0208271 A1. Filing Date 08/20/2014. Publication Date 07/21/2016
    • 発明者:Cigan, Andrew Mark (Johnston, IA, US); Falco, Saverio Carl (Wilmington, DE, US); Lassner, Michael (Urbandale, IA, US); Liu, Zhan-bin (West Chester, PA, US); Svitashev, Sergei (Johnston, IA, US)
    • 譲受人:E. I. DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY (Wilmington, DE, US); PIONEER HI-BRED INTERNATIONAL, INC. (Johnston, IA, US)
[情報点からのお知らせ 2016/08/06] 
 CRISPR関連のGoogle Scholar アラートにこのところ、米国癌学会第107回年会 (New Orleans, 2016年4月16-20日)のアブストラクトが数多くヒットしてきていますが、一連の「CRISPR関連文献メモ」には採録しておりません。ご関心の向きはCancer Research 誌のサイトにて、例えば、“AACR 107th CRISPR”にて検索なさいますよう。