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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/08/07)CRISPR関連文献メモ_2016/08/07
  • Corresponding author: John van der Oost (Wageningen University)
  • CRISPR/Casシステムによる獲得免疫機構は、原核生物ゲノムのほぼ半分に存在する。CRISPR/Casシステムは、ウイルスやファージと宿主との間の果てしない軍拡競争の中で、CRISPR/Casシステム全体あるいはそのモジュールの水平移動を介して、進化してきた。その結果、CRISPR/Casシステムは構造上も機能上も極めて多様であり、現在、クラス1とクラス2に大分類され、それぞれに3タイプの存在が知られており*1)、さらにサブタイプが判別されている。 
    *1)クラス1 - タイプ I/III/IV;クラス2 - II/V/VI
  • エフェクターCmrの結晶構造を明らかにした*2)J. van der Oostらは、今回、CRISPR/Casシステムの分子機構と進化に関する研究の進展と、その応用展開をレビュー(引用論文数166編) 
    *2)Cmr構造解析論文:"Structure and activity of an RNA-targeting Type III-B CRISPR-Cas complex in Thermus thermophilus” Molecular Cell, 2013.
  • 構成
    • CRISPR/Casシステムによる可動遺伝要素(mobile genetic elements, MGEs)に対する防御の分子機構と進化過程(図1と図2)
    • CRISPRアレイにMGEs由来のスペーサーが埋め込まれる過程を免疫記憶を獲得する分子機構(CRISPR adaptation)(図3)
    • crRNAsの生合成機構(図4と図5)
    • 標的に対する干渉の分子機構(図6)
    • ゲノム編集への応用
    • CRISPR/Casに関しては、免疫システムとウイルスの共進化、CRISPR/Casの活性と遺伝子水平移動の関連、および、CRISPR/Casシステムの獲得免疫反応以外の機能も興味深い課題であるが、そのレビューは他に譲る。
  • CRISPR/Casシステムの多様性関連ニュースウオッチ記事
    • CRISPR関連文献メモ_2016/06/05 1.[論文]クラス2タイプVI-A CRISPR/CasエフェクターC2c2の標的は一本鎖RNAである:E. V. Koonin (NCBI);F. Zhang (Broad/MIT) Leptotrichia shahii 由来のC2c2はCRISPR/Casシステムのクラス2に分類され、crRNAに誘導され、一本鎖RNAを切断するRNase(リボヌクレアーゼ)である。
    • CRISPR関連文献メモ_2015/10/04 1.[論文] CRISPR/Casシステム進化分類の改訂-新たなゲノム編集ツールの発見へ: E. V. Koonin (NCBI)
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