(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/08/11)
- Corresponding authors: Paul A. Sigala; Daniel E. Goldberg (Washington U. School of Medicine) PDIS研究実施者:津本浩平(東京大学)
- ヘムオキシゲナーゼ(Heme Oxygenase, HO)はユビキタスな酵素であり炎症、細胞シグナル伝達、ヘムの分解および鉄の獲得に関与している。HOは、ヘムのポルフィリン環を開裂して、ビリベルジン(biriverdin) そして一酸化炭素と遊離鉄を産生する
- 保存されているヒスチジンをアラニンに置換したHO変異体は、in vitro でヘムをビリベルジンに変換できないことなどから、HOのヒスチジンとヘムの相互作用が、HOの酵素活性に必須とされてきた。研究チームは今回、in vivo では様相が異なることを示した。
- シアノバクテリア、ヒトおよびシロイヌナズナのHOのHis変異体と蛍光タンパク質を融合したビリベルジン・バイオセンサーをE. coli で共発現させて、in vivo での酵素活性を測定した。
- 複数のHO変異体が、バクテリアの細胞内環境では酵素活性を保持していた。
- ヘムが結合した状態のヒトHO1 H25R変異体のX線結晶構造解析と生化学的実験の結果から、HO変異体の活性にはヘムと隣り合うHOのアミノ酸との間の相互作用が関与していないことが明らかになった。
- [注] 参考図は、ビリベルジンが結合したヒトヘムオキシゲナーゼHO1 H25Rの構造
- 変異に対するHOのin vivo 活性の可塑性は、その酵素活性には活性部位周辺の環境の影響が大きいことを示唆している。
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