1. [NEWS & VIEWS] 塩基編集 (BE)のオフターゲットの問題と解決
[出典] "Off-target effects and the solution" Tang J, Chen L, Liu YG. Nat Plants. 2019-04-08.
- 塩基編集の中でABEの標的特異性は高いが、BE3系のCBEsはゲノムワイドでオフターゲットサイトに1塩基変異を誘導するとした最近の2論文に注目 (2019-03-02「C-to-T塩基編集(BE)は、イネでもマウスでも、大規模なオフターゲット変異を伴う」参照)し、CBEsのオフターゲット抑制法を提案:タンパク質工学によるAPOBEC1の配列に依存しない脱アミノ化の抑制;シトシンデアミナーゼとUGIを含む融合タンパク質の発現レベル調節による過剰な脱アミノ化の回避;他のタイプのシトシンデミアナーゼまたはCasヌクレアーゼの利用
- ABEの評価関連 crisp_bio記事:2019-03-11「A-to-G塩基置換法ABEのオフターゲット作用の評価と抑制」
2. CRISPRaをトランスに作用するエンハンサーで強化
[出典] "Gene activation by a CRISPR-assisted trans enhancer" Xu X, Gao J, Dai W, Wang D, Wu J, Wang J. eLIFE. 2019-04-11.
- 東南大学 (南京市)の研究チームは、CMVエンハンサーをdCas9-VP64のCRISPRaシステムにトランスに作用させる2種類のシステム、dCas9-VP64/csgRNA-sCMVとdCas9-VP64-GLA4/sgRNA-UAS-CMV、を開発した。前者は、Figure 1を引用した左下図にあるように、通常のsgRNAの3末端にCMVの突出末端のオーバーハングを"capture"する"capture squence"を結合する仕組みで、後者はdCas9に融合したGLA4とエンハンサーに融合したUASとの間の結合を利用してエンハンサーをトランスに作用させる仕組みである。
- こうして、トランスのCMVエンハンサーは、dCas9/sgRNAの標的遺伝子のプロモーター領域に結合し、内在のcisエンハンサーと同様に機能する (dCas9-VP64/csgRNA-sCMVシステムによる種々の細胞株における10種類の遺伝子の転写活性化の例をFigure 2引用上図右参照)
3. マイクロRNAによりanti-CRISPR遺伝子の発現を細胞特異的に調節することで、細胞特異的なCas9ゲノム編集を実現
[出典] "Cell-specific CRISPR–Cas9 activation by microRNA-dependent expression of anti-CRISPR proteins" Hoffmann MD [..] Eils R, Grimm D, Niopek D. Nucleic Acids Res. 2019-0415.
- CRISPR-Casシステムによる精密で安全な医療の実現には、Cas9の活性を特定の細胞や組織に限定する技術が必須である。University of Heidelbergを中心とするドイツの研究グループは今回、anti-CRISPR (Acr)タンパク質の発現を標的細胞に特異的に豊富なmiRNAで抑制することで、Cas9の活性の細胞型特異的にオンするスイッチを開発した (原論文Figure 1から引用した下図のA参照)。

- SpyCas9の全長、split-Cas9およびdCas9-VP64のいずれの活性もAcrIIA4によって抑制されたが、AcrIIA4に肝細胞と心筋細胞にそれぞれ特異的に豊富なmiR-122とmiR-1の結合配列 (図中のmiR-BS)を融合しておくことで、肝細胞と心筋細胞に特異的に前述の一連のSpyCas9の活性をオン可能なことを、実証した (Cas-0Nスイッチ)。
- 研究グループはまた、このCas-ONスイッチをSpyCas9よりも小型で標的特異性が高いNmeCas9と、その活性を阻害するAcrタンパク質 (AcrIIC1とAcrIIC3)の組み合わせにも展開可能なことを示した。
- [出典] "In vivo profiling of metastatic double knockouts through CRISPR–Cpf1 screens" Chow RD, Wang G, Ye L [..] Chen S. Nat Methods. 2019-04-08.
- (*) MCAP (massively parallel CRISPR–Cpf1/Cas12a crRNA array profiling):tracrRNAを必要とせずcrRNAアレイだけで多重ゲノム編集が可能なCas12aを採用して、大規模なダブル・ノックアウト (DKO)システムを設計;ヒト癌転移のドライバー候補遺伝子26種類とコントロール遺伝子群を対象とするMCAP-METアレイ (規模11,934アレイ)を構築;協働して転移を亢進する遺伝子ペアを同定し、そのトップヒットの一つNf2とTrim72の組み合わせがマウスin vivoで肺転移を亢進することを確認
5. CRISPR-Cas9によるヒトとゼブラフィッシュのミトコンドリアDNAの相同組み換え修復を実現
[出典] "Knock-In Strategy for Editing Human and Zebrafish Mitochondrial DNA Using Mito-CRISPR/Cas9 System" Blan WP [..] Pei DS. ACS Synth. Biol. 2019-04-08.
- 核移行シグナル配列 (nuclear localization signal: NLS)をミトコンドリア移行シグナル配列 (mitochondrial targeting sequence: MTS)に差し替えたMTS-Cas9、gRNAおよびssDNAにより実現
- 関連論文 "Efficient Mitochondrial Genome Editing by CRISPR/Cas9" Jo A, Ham S, Lee GH, Lee YI, Kim S, Lee YS, Shin JH, Lee Y.Biomed Res Int. 2015;2015:305716. Online 2015-09-10.


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