[出典] "Increasing the specificity of CRISPR systems with engineered RNA secondary structures" Kocak DD, Josephs EA, Bhandarkar V, Adkar SS, Kwon JB, Gersbach CA. Nat Biotechnol. 2019-04-15.

 デューク大学の研究チームは、sgRNAのスペーサ領域のPAM遠位5'末端を伸長することで自律的に形成されるヘアピン構造をとらせたhp-sgRNAsにより、編集精度向上を実現した。
  • ヘアピン構造は、Cas9の活性化に必要なR-loop形成を立体的およびエネルギー的に阻害する ('鍵'がかかった状態)。R-loopは、sgRNAが本来の標的DNAに結合した場合に限り完成に至る ('鍵'が開く)が、1塩基のミスマッチがあっても完成に至らないことから、hp-sgRNAsが結果的に標的選択性を高めることになる。
  • Cas9が、コンフォメーション変化で出現する結合チャネルに核酸二本鎖を格納することから、ヘアピン構造にかかわるRNA-RNAもsgRNAとともに取り込まれ、hg-sgRNAはsgRNAと同等の切断活性を示すと考えられる。
  • 今回は、hp-sgRNAsの効果を、SpCas9、SaCas9、SaCas9-KKH、AsCas12a、AsCas12a-RVRおよびLbCas12aで実証したが、他のCRISPRエンドヌクレアーゼに展開可能であり、また、Cas9の組み合わせや改変が不要なhp-sgRNAは、迅速・廉価に作出可能である。