[出典] "sgRNA-shRNA Structure Mediated SNP Site Editing on Porcine IGF2 Gene by CRISPR/StCas9" Sun Y [..] Zhang Z, Xu Kun. Front Genet. 2019-04-18.

 西北農林科技大学の研究グループは、Streptococcus thermophilus由来のStCas9、sgRNAおよびHDR用ssODNsによる標的サイトの1塩基置換と同時にNHEJ修復の必須因子DNAリガーゼV をコードする遺伝子 (Lig4)をサイレンシングする手法を開発し、SNP editingと称した。
  • ブタにおけるインスリン様成長因子遺伝子2(IGF2)の第3イントロン内のSNP (G3072A)*を標的として、Figure 1から引用した下図左のAにあるように、一対のIGF2を標的とするsgRNAと、Lig4を標的とするshRNAをDroshaで結合したコンストラクトを利用する (* 筋成長や脂肪沈着に関与)。
sgRNA-shRNA 1 sgRNA-shRNA
  • 上図左の右下グラフEにあるように、sgRNA-shRNAは想定通りLig4発現を抑制した。
  • sgRNA-shRNA/StCas9オールインワン発現ベクターによる塩基置換効率は、Figure 3引用上図 I にあるように、IGF2.sgRNA/StCas9による塩基置換効率よりも有意に高く、16.38%に達した。
  • StCas9の標的編集活性はSpCas9と同等な一方で、PAM配列がNGGNGとSpCas9のNGGよりも厳密なことが特徴であり、オフターゲット編集がSpCas9より抑制されることを期待できるが、StCas9によるSNP editingおいてもオフターゲット編集抑制の工夫が今後必要である。
  • SNP editingはオフターゲット効果抑制を経て、ヒト遺伝子疾患病因SNPの修復にも展開可能である。