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(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/08/19)
  • Corresponding author: Mitchell J. Weiss (St. Jude Children's Research Hospital)
  • ヘモグロビン変異の良し悪し
    • ヒトのヘモグロビンは出生後に、胎児型ヘモグロビンから成人型ヘモグロビンへ切り替っていく。胎児型ヘモグロビンはαグロビンとγグロビンで構成され、HbFまたはα2γ2と表記される。成人型ヘモグロビンはほとんどがαグロビンとβグロビンで構成され、HbAまたはα2β2と表記される。γグロビンは、パラログ遺伝子のHGB1 とHGB2 から発現する。
    • βグロビンをコードする遺伝子HBB の異常な変異は、HbFからHbAに切り替わっていくに従って、鎌状赤血球症(sickle cell disease, SCD)やβサラセミアを典型とするβヘモグロビン異常症を呈するに至る。一方で、γグロビンからβグロビンへの切り替えを抑制する変異は、一生にわたりHbFを高発現し続ける遺伝性高胎児血色素症(hereditary persistence of fetal hemoglobin, HPFH)を呈するが、重篤な症状は現れない(良性の遺伝子疾患/benign genetic condition)。
    • SCD変異またはβサラセミア変異とHPFH変異とが共存していると、SCDまたはβサラセミアの臨床症状が現れない。
  • 研究チームは今回、HPFHをもたらす変異のうち、HBG1 のプロモーター領域において欠損する’転写抑制因子をリクルートするCCAATボックスと直列反復配列を含む13塩基対’に注目した。
    • SCD患者由来のヒト造血前駆細胞を対象として、CRISPR/Cas9技術を利用して、HGB1 とHGB2 のプロモーター領域から上記13塩基対を削除し、γグロビンからβグロビンへの切り替え阻害を実現した。すなわち、HPFH変異を再現した。
    • 編集後の前駆細胞から分化した赤血球はHbFを産生し、そのレベルはSCDにおいて低酸素に誘導される赤血球の異常な形状の発生を抑止するに十分であった。
  • ヒトに不利益をもたらさない天然の変異を利用することから、本手法は、βヘモグロビン異常症の遺伝子治療法として有望である。
  • [注] 関連ニュースウオッチ記事:CRISPR関連文献メモ_2015/09/19 2. [論文] プロモーター領域を編集してBCL11A 遺伝子の発現を制御し、鎌状赤血球症を緩和する: Feng Zhang (Broad); Stuart H. Orkin (Dana-Farber Cancer Inst./Boston Children's Hospita); Daniel E. Bauer (Boston Children’s Hospital)
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