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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1. 欧州連合司法裁判所のゲノム編集裁定が、食品のリスクの評価と検出に与える影響
[出典] "European Court of Justice decision for genome editing: Consequences on food/feed risk assessment and detection" Broll H, Braeuning A, Lampen A. Food Control 2019-05-08.
  • 2018年7月25日欧州連合司法裁判所は、変異導入に由来する生物は、European Directive 18/2001/ECで定義された遺伝子組み換え生物 (GMO)と定義し、ただし、今回の裁定以前から長年利用されてきた化学的変異原および物理的な変異誘導による改変生物は安全に利用されてきた実績があるということで対象外とした (*)。
  • German Federal Institute for Risk Assessmentのチームは今回、「裁定に沿った食品管理を実現するためには、CRISPR技術によるGMOを検出する技術が必要になるが、単一突然変異が、CRISPR遺伝子編集による意図的に誘導されたものか、あるいは、化学変異原や放射線照射などで誘導したものか、自然発生したものか、科学的に識別することは不可能」と指摘。
  • (*) CRISPRメモ_2018/08/30 7. [論説]CRISPR技術などによる遺伝子編集作物はこれまでのGMOの枠組みで取り扱うとした欧州連合司法裁判所 (ECJ)の裁定に対する反論に加えて科学者が行動する必要性を訴え
2. 単一ベクタのCRISPR/Cas9によるゲノム編集を介して産業用糸状菌Ashbya gossypiiの応用をひろげる
[出典] "One-vector CRISPR/Cas9 genome engineering of the industrial fungus Ashbya gossypii" Jiménez A [..] Revuelta JL. Microb Biotechnol 2019-05-05.
  • リボフラビン (ビタミンB2)の産業生産に利用されているA. gossypiiは、低コストの基質で生育し下流の処理過程も低コストであることから、他の有用物質生産も試みられている。微生物工場としてのA. gossypiiの多重な遺伝子編集はこれまで選択マーカを必要とし選択マーカ除去に必要なloxPの痕跡が残る問題を伴っていた。
  • A. gossypiiS. cerevisiaeと同様にDSBは主としてHR過程によることから、CRISPR/Cas9が誘導するHR過程を介して、選択マーカを不要の遺伝子導入を期待できる。Universidad de Salamanca (スペイン)の研究グループは今回、Cas9とsgRNAに加えてHR用ドナーDNA (dDNA)を単一ベクターで送達する戦略で、A. gossypiiにおけるヌクレオチドの除去と置換、ひいては、遺伝子不活性化、loxPの痕跡の除去および点変異誘導を実現した。
3. [レビュー] 気候変動の影響を克服するスマート・ライスをCRISPRで作り出す:課題と可能性
[出典] REVIEW "CRISPR mediated genome engineering to develop climate smart rice: challenges and opportunities" Biswal AK, Mangrauthia SK, Raghurami Reddy M, Yugandhar P. Semin Cell Dev Biol 2019-05-02
  • The University of North Carolina at Chapel HillとIndian Institute of Rice Researchによるレビューの背景:予測されている気候変動はアジアに限っても稲作地域2,300万ヘクタールを乾燥地帯に変え、また、気温1℃上昇によりコメ生産量が3.2%減少する、と見られている。また、この生産量減少は、価格高騰を介して社会的問題を拡大する。このため、スマート・ライスの開発が求められる。
  • レビューの項目:スマート・ライス開発に利用可能なCRISPR技術;非生物ストレス耐性実現の可能性 (気候変動対応に必要な形質、標的とすべき遺伝子とパスウエイ、耐性遺伝子資源としての野生種);イネのCRISPR/Cas遺伝子編集 (代表的な事例とCRISPR/Casツールボックスの拡充;非生物ストレス対応例);課題 (オフターゲット;形質転換効率);展望
4. CRISPR-Cas9による枯草菌ゲノムのマルチ・ラウンドの編集を実現する法
[出典] "Programmed gRNA removal system for CRISPR-Cas9-mediated multi-round genome editing in Bacillus subtilis" Lim H, Choi SK. Front Microbiol. Accepted 2019-05-06.
  • マルチラウンド編集にはラウンドごとにsgRNAを削除し、Cas9を次の標的遺伝子に誘導するsgRNAを組み込む必要がある。
  • KRIBBの研究チームはこの過程の簡素化を実現した。cas9遺伝子のプラスミドと、恒常的に活性なプロモータと胞子形成期に特異的なプロモータそれぞれの下流に染色体の特定領域を標的とする (chromosome-targeting) sgRNA (sgRNAct)とプラスミド自身を標的とする (self-targeting) sgRNA (sgRNAst) ならびにHR用ドナーDNAを含むプラスミドの2種類のプラスミドを送達することで、増殖期にはsgRNActが転写されてCas9と結合して遺伝子編集が進行し、胞子形成期にはsgRNAstが転写されてCas9と結合してプラスミド自身を分解する。
5. CRISPR/Cas9を介した酵素変異体ライブラリ構築と、in vivoでの細胞増殖と標的産物生産量のモニタリングを組み合わせたスクリーニングによる酵素工学
[出典] "CRISPR/Cas9-facilitated engineering with growth-coupled and sensor-guided in vivo screening of enzyme variants for a more efficient chorismate pathway in E. coli" Chen M, Chen L, Zeng AP. Metab Eng 2019-05-06.
  • Hamburg University of TechnologyとBeijing University of Chemical Technologyの研究グループは、表題の手法で同定した酵素変異体により、E. coliによるトリプトファンの生産量の38.5%増に成功し、この手法をCRISPR/Cas9-facilitated engineering of the target gene(s) with Growth-coupled and Sensor-guided in vivo Screening (CGSS) と称した。
  • コリスミ酸経路の鍵酵素である-デオキシ-7-ホスホヘプツロン酸 (DAHP) 合成酵素AroGの変異体の中で、フェニルアラニンによるフィードバック阻害に耐性を示すAroGS180Fを帯びたE. coliから出発し、細胞増殖と、eGFPレポータを介してトリプトファンの生産量の双方をin vivoで見ることで、トリプトファン生産を最適化するAroGD6G−D7Aを同定した。
6. 線虫ゲノムの遺伝子座へ単一コピーをノックインする
[出典] "Single-Copy Knock-In Loci for Defined Gene Expression in Caenorhabditis elegans" Silva-García CG [..] Mair WB. G3 (Bethesda) 2019-05-07.
  • Single-copy Knock-In LOci for defined Gene Expression (SKI LODGE): 線虫ゲノムのセーフ・ハーバー部位へ、遺伝子編集個体のエンリッチメントのマーカとしても機能する単一のcrRNAガイドを利用して、遺伝子の単一コピーとなる任意のDNA断片を導入することで、低コストかつ高効率な異所性外来遺伝子を帯びた線虫を作出。
7. [レビュー] CRISPR/Cas9による遺伝子発現調節とエピゲノム編集:dCas9に基づくツールとそのオフターゲット編集の抑制法
[出典] REVIEW "CRISPR/Cas9-based epigenome editing: An overview of dCas9-based tools with special emphasis on off-target activity" Tadić V, Josipović G, Zoldoš V, Vojta A. Methods 2019-05-06.
  • University of Zagrebのグループが、CRISPRa、CRISPRi、オフターゲット編集とその抑制法 (sgRNA-Cas9複合体の濃度と送達法、sgRNAの設計)、Cas9変異体、および、Cas9オーソログ (詳述)をレビューし、今後を展望。
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