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(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/10/02)
  1. [論文] アルギニンによるmTORC1活性化の構造基盤
    • Corresponding authors: Thomas U. Schwartz (MIT); David M. Sabatini (Whitehead Inst.)
    • mTOR(*)を中心とする複合体mTORC1は、細胞内外の環境情報を認識・統合して細胞成長を調節する。例えば、アミノ酸などの栄養や増殖因子によって活性化され、種々のストレスによって活性が抑制されて、細胞応答を調節する。
    • Sabatiniらは先行研究で、アルギニンを感知する分子が、リソソームのアミノ酸トランスポーターSLC38A9に続いて、CASTOR1(Cellular Arginine Sensor for mTORC1)を同定し、CASTOR1にアルギニンが結合すると、CASTOR1がGATOR2から解離し、Rag GTPasesを介してmTORC1が活性化されるに至るとした。すなわち、CASTOR1がアルギニン欠乏状態ではmTORC1の活性を抑制し、アルギニンが十分存在するとその抑制が外れてmTORC1が活性化する。なお、ロイシンに対しては、Sestrin1/2がセンサーとして同様にGATOR2を介してmTORC1の活性を制御する。 
      (*) 用語“mTOR”は哺乳類のラパマイシン標的(mammalian TOR (target of rapamycin))由来であったが、今では、mechanistic TORに対応。
    • 41300001
    • Sabatiniらは今回、X線結晶構造解析によって分解能1.801 Åで解いたアルギニンが結合したヒトCASTOR1の構造(参考図「PDB 5I2Cの構造」参照)に基づいて、アルギニンがCASTOR1ホモ二量体に結合することで、CASTOR1のGATOR2結合部位にアロステリック作用がおよび、CASTPR1がGATOR2から解離し、mTORC1の活性化に至る分子機構を明らかにした。
  2. [NEWS & VIEWS] ストレスに応答してTORC1活性が阻害されるとプロテアソームが強化される
    • Corresponding authors: Lynne Chantranupong & David M. Sabatini (Whitehead Inst.)
    • Sabatini らが、ストレスによるTORC1活性の抑制がプロテアソーム増量を誘導し、ストレス下での細胞生存を維持していくことを明らかにしたAdrien RousseauとAnne Bertolottiの論文を紹介。
    • 細胞内タンパク質分解機構であるプロテアソームは、コア粒子と制御粒子で構成されている(参考図「プロテアソームの構成と構造」参照)。
    • 41300002
    • ストレス下の酵母では、TORC1の活性が阻害されると、Mpk1として知られる分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)が活性化され、Adc17を含む制御粒子組み立てシャペロンRACsとプロテアソームのサブユニットが増加し、プロテアソームが増加し、タンパク質分解が亢進するに至る。
    • ヒト細胞株では、栄養飢餓やラパマイシンによってmTORC1の活性が阻害されると、酵母のMpk1に相当するERK5を介して、酵母と同様の機構でプロテアソームが増加し、タンパク質分解が亢進するに至る。
    • 酵母においてもヒトにおいても、ストレス下ではプロテアソームの増量が細胞生存に必要である。

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