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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Next-generation characterization of the Cancer Cell Line Encyclopedia" Mahmoud Ghandi M, Huang FW. [..] Garraway LA, Sellers WR. Nature. 2019 May;569(7757):503-508. Online 2019-05-08.
  • 2012年に発表された癌細胞株エンサイクロペディア(CCLE)(*1)は、36種類の腫瘍型を網羅した947種類の癌細胞株のゲノムデータと遺伝子発現データ、ならびに、479癌細胞株にわたる24種類の抗癌剤の薬理プロファイリングを擁し、薬剤標的と薬剤感受性予測に有用なバイオマーカの同定に、活用されてきた。
  • 著者らは今回、2012年版CCLEのデータを大幅に拡充し、CCELポータルサイトから公開し、Nature誌にて他のデータセットとの統合解析から得られた知見とともに報告した。2017年9月に公開した新CCELポータルサイトはこれまでに129ヶ国88,000人に利用されている。
  • 次世代CCELで拡充された基本データは、多様な系統と民族集団にわたる癌細胞株 1,072種類について、deep RNA-seq (1,019株)、全エクソームシーケンス (WES) (326株), 全ゲノムシーケンス(WGS) (329株)、RainDanceを介したターゲット遺伝子シーケンス (657株)、逆相タンパク質アレイ (RPPA)  (899株)、 Reduced Representation Bisulfite Sequencing (RRBS)によるDNAメチル化解析(843株), マイクロRNA発現プロファイル (954株)、ならびにヒストンH3修飾プロファイル (897株)、加えて、Nature論文と同日にNature Medicine誌にオンライン出版された姉妹論文(*2)にて報告された225種類の代謝物プロファイル (928株)に及ぶ。
  • 基本データのWES、WGS、deep RNA-seqならびにターゲット遺伝子シーケンスとSanger Genomics of Drug Sensitivity in Cancer (GDSC)のWESデータとを統合してバリアントをコールし直し、各細胞株の特性データに加え、次世代CCLEは構造多型 (329株)と遺伝子融合 (1,109細胞株)のデータを擁している。
  • 著者らはさらに、薬剤感受性のデータセットやProject Achilles and Project DRIVE由来のRNAi遺伝子ノックダウンスクリーンのデータセットとCRISPR-Cas9遺伝子ノックアウトスクリーンのデータセットを加えて統合解析することで、抗癌剤の標的候補および抗癌剤感受性のバイオマーカを同定可能なことを示した。
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