(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2015/11/23)
  • 高輝度のXFELによって微細な試料の連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)が可能になったが、これまでのとことろ、構造既知の類似タンパク質を必要とする分子置換法による構造決定に限られていた.
  • 今回、中津 亨ら京大とSpring-8などの研究グループは、SACLAのXFELと、重原子同型置換(Single Isomorphous Replacement with Anomalous Scattering, SIRAS)による位相決定により、構造未知のルシフェリン再生酵素の微結晶の構造を決定した.
  • 単波長異常分散(Single wavelength Anomalous Dispersion: SAD)法では、結晶に水銀を浸透結合させた水銀誘導体からの画像80,000枚以上を入力としても精度が不十分で構造決定に至らなかった.
  • 一方で、天然型のタンパク質(ネイティブ結晶)と水銀誘導体の双方からのデータを利用する水銀の異常分散効果をみるSIRAS法により、それぞれ10,000枚の画像から分解能1.7 Åで構造を決定することに成功した.この手法による構造決定は、高輝度(12.6keV)かつ安定したSACLAにおけるX線自由電子レーザーによって初めて実現した.