(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2015/11/18)
- Kevin M. Esvelt (Wyss Inst.) & George M. Church (Harvard Medical U.)
- 11月16日付でNature Biotechnology にてオンライン出版された遺伝子ドライブ実験が、透明性と安全性を保つべく努めた研究の進め方の観点からNatureの論説とNewsで取り上げられた.
- Kevin M. EsveltとGeorge M. Churchらは遺伝子ドライブ技術によって蚊に媒介されるマラリア、ダニに媒介されるライム病、住血吸虫症などを根絶することを目指して、技術そのものの安全性を確保しかつ研究社会ならびに一般社会の理解を得ながら、研究を進めようとしている.
- 2014年7月にeLife 誌にCRISPR/Cas9技術による遺伝子ドライブ実験の進め方に関する考察と提案を発表し、広く意見を求めた.今回、フィードバックを活かした上で、有性生殖の頻度が低い酵母での予備実験を行った.
- コロニーの色で遺伝子発現を確認できるADE2 遺伝子を標識として実験.野生型ADE2 を標的とするgRNAを野生型ADE2 に挿入し、この半数体と野生型を交配し、エピソームプラスミドにコードしたCas9が存在する場合と存在しない場合の遺伝子編集を比較("Split Drive").野生型ADE2 破壊についても、URA3 の挿入についても、得られた2倍体において遺伝子ドライブが成立することを確認.
- この"Split Drive"は、gRNAがCas9とが物理的に分離されており、野生型の酵母にはCas9が存在せず、また、Cas9エピソームプラスミドが不安定な事から、分子的封じ込め法として有効.さらに、ADE2 破壊の遺伝子ドライブに対して、Cas9+sgRNAを設計する事で、ADE2 を復活させる遺伝子ドライブの可逆性(reversibility)を実現.
- 安全性に関する公的なガイドラインの整備(既存の種々の規制の見直し)が進み、遺伝ドライブ実験研究が健全に発展していくことを期待する.
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