(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/11/01)CRISPR関連文献メモ_2016/11/01
  • Corresponding author: Dipali G. Sashital (Iowa State U.)
  • 各種微生物から多くのCRISPR/Casシステムが同定され、現在、クラス1のI/III/IVの3タイプとクラス2のII/Vの2タイプに分類され、タイプがさらにサブタイプへと分類されて、タイプごとに構成因子、機序、そして機能が相違する。
  • 研究チームは今回、Escherichia coli のタイプI-E CRISPR/CRISPRシステムにおけるcrRNAと5種類のCasタンパク質(Cse1; Cse2; Cas7; Cas5; Cas6/化学量論比は1:2:6:1:1)からなるカスケード(Cascade)サーベイランス複合体が示す2種類の免疫応答経路の構造基盤を、これまでに明らかにされた結晶構造情報に蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET)法の測定結果を組み合わせて、論じた(参考図は2014年に発表されたCascade/crRNA/virus ssDNAの構造: PDB ID 4QYZ)。
  • 42090001
    • Cascadeは、crRNAsに相補的な外来DNAを発見し破壊する(interference)機能と、変異を起こしinterferenceを逃れる外来DNAから迅速に新たなスペーサーを獲得する機能(priming)を有している。
    • FRETの結果は、Cascadeを構成する5つのタンパク質の一つCse1のコンフォメーションが、“closed”と“open”の間で動的な平衡状態を取っており、“closed”がinterferenceに、“open”がprimingに対応することを示唆した。また、Cse1のL1モチーフがCse1を“closed”コンフォメーションへと安定化し、L1モチーフに変異を導入すると“open”コンフォメーションへの偏りが生じ、ひいてはinterferenceに対してprimingが優勢になることも明らかになった。