(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/11/03)
- Corresponding author: 田中義正(京都大学/長崎大学)
- 主として骨再吸収阻害剤として知られているビスホスホネート(bisphosphonate、以下 BPs)はP-C-P構造を基本骨格とし2個のホスホン酸アニオン基が炭素と共有結合している化合物であり、窒素を含まない第1世代から窒素を含む第2世代そして第3世代と開発が続いてきた。窒素を含むBPsは、一部の乳癌や 骨髄腫にも奏功するが、経口吸収、腫瘍細胞への侵入および活性に限界があり、また、顎骨壊死や大腿骨の骨折などの副作用を伴う。
- BPsをプロドラッグ(prodrug)として処方すると、リン酸塩の負電荷が中和されて脂溶性になることで、リン酸化抗ウイルス剤としての効力が増すことが報告されている。
- 研究チームは今回、種々の癌細胞株(特に、造血器腫瘍細胞)のin vitro 増殖をナノモル濃度で強力に阻害する複素環式BPプロドラッグの合成に成功した。また、この化合物は1〜10nMの低濃度で、癌の進行を亢進する低分子量Gタンパク質Rasファミリーの1種であるRAP1Aのプレニル化を阻害し、さらに、免疫不全モデルマウスにおいてヒトの膀胱癌細胞の増殖を遅らせた。
- この化合物はFDAが認可したBPの中で最も活性なゾレドロニック酸(zoledronic acid)よりもさらに活性であり、抗癌剤として有望である。
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